研究課題/領域番号 |
20K00174
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
奈良澤 由美 城西大学, 現代政策学部, 教授 (60251378)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 柱頭 / 彫刻 / プロヴァンス / メロヴィング朝 / カロリング朝 / 初期中世 |
研究実績の概要 |
今年度もコロナ禍の状況で現地調査を実施できなかったため、過去の調査資料および文献資料による研究分析が中心となった。 カロリング朝期(8~10世紀)の柱頭の特徴を明確にするための調査を進め、ドイツに残される初期中世の柱頭についての文献収集を行い、オセールのサン=ジェルマン修道院クリプタの柱頭など同時期と推測される作例群との比較研究を行った。さらにそれ以前の柱頭についての年代比定の指標を得るために、グルノーブルのサン=ローラン聖堂クリプタの彫刻群との比較考察を行った。ただ、まだ明確な指標を得るには至らない。 プロヴァンス地方の初期中世ついては、柱頭以外の彫刻の作例も含めて総括的な考察を行った。古代末期の地元工房から初期中世の活動について、様式およびモティーフの問題など分析を進め、今後の調査の方向性について課題を抽出した。さらに考察の比較範囲を拡大するために、メロヴィング朝期の石棺等の彫刻作例について、またスペインの初期中世の彫刻作例について、資料収集を行った。 また、物質性の問題について、初期キリスト教時代の典礼空間における柱の物質的価値について、そして初期中世の大理石柱頭の流布と再利用の問題について、考察を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に続き、2021年度も新型コロナ感染拡大の状況で海外渡航ができず、予定していた現地調査を行うことができなかった。そのため、文献資料収集を中心に、カロリング朝期の柱頭の特徴の抽出と地域差の問題について、そしてフランス南東部の初期中世の彫刻についての年代比定と地域的特徴の考察、さらに西ヨーロッパ地域の初期中世彫刻全体の研究状況の把握を進めることにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
フランス中部・北部の初期中世の彫刻全体についてについて、また他の地域について、文献収集を継続する。 いまだイタリアの初期中世の柱頭については、いまだ検証が十分でないため、重点的に分析調査を行う。 フランス南東部の5~6世紀の柱頭について指標を得るために、ヴィエンヌ(イゼール県)由来の柱頭についての最新の調査資料を収集し、できれば現地調査を行うことを予定している。 フランス南東部の11世紀の柱頭についての調査を継続するが、トレ(ブーシュ=デュ=ローヌ県)サン=ジャン=デュ=ピュイ小聖堂、サン=レミ=ド=プロヴァンス(ブーシュ=デュ=ローヌ県)サン=ボネ=ド=ラゴワ小聖堂などの現地調査を行い、第1次資料を積み上げながら、年代比定の検証を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大の状況下で、現地調査のための海外渡航ができず、旅費が使用できなかったため。
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