研究課題/領域番号 |
20K00182
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
金 貴粉 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (20648711)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 朝鮮書芸 / 近代朝鮮史 / 書画 / 韓国美術 / 日本書道史 |
研究実績の概要 |
本研究は近代朝鮮の「書」が創出した新たな価値の解明をその目的としており、令和2(2020)年度に続き、令和3(2021)年度においても、国内外の諸機関において作品関連資料を実地調査する予定であった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、国内での可能な範囲内における調査・研究を行うこととなった。 今年度は関連作品資料調査として、美術館、研究機関での調査を行ったが、特に佐野市郷土博物館においては、朝鮮近代の書人らによる作品、資料調査を継続して行うことができた。これまでも数年にわたり、継続的に実地調査を行っていたが、今年度は特に昨年度の研究成果として明らかになった日本人書家と関係の深い金敦熙の作品を中心に調査を行った。 これまで朝鮮美術展覧会における功績が特に強調されてきたが、書家として活躍する以前からの連続性を示すことの重要性について作品を通して考察することができた。さらに作品評価について考察するために、同時期の書人らによる合作作品について省察する必要性を感じた。 さらに今年度は、昨年度の調査結果に基づいた成果を学会誌、シンポジウムで公開することにより、社会還元することができた。具体的には、国際シンポジウム「近代書壇の誕生ー東アジア三地域の比較からー」(近代東アジア書壇研究プロジェクト・2021年8月21日開催)において、「近代日本人書家の朝鮮書芸との邂逅」と題し、植民地期朝鮮において朝鮮書道研究を行った工藤文哉と比田井天来について報告した。また、書学書道史学会の学会誌である『書学書道史研究』31号に、「比田井天来と朝鮮書道史―『朝鮮書道菁華』を中心に―」と題し、昨年度の研究成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も昨年度に続き、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当初予定していた海外調査を行うことができなかったが、国内で収集できる資料や調査を中心に行うことで、当該研究テーマの研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も新型コロナウィルス感染拡大状況をふまえ、可能な範囲で国内の関係機関だけではなく、海外における調査も進めていくこととする。個別の作家研究だけではなく、合作作品についても調査することで、書人同士の関係性について明らかにしていきたい。さらに朝鮮人男性を中心とした漢字作家だけではなく、周縁におかれた女性作家についての調査も行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査のための旅費として使用する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大により、当初予定していた海外調査を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。 来年度は感染拡大状況をふまえて、調査のための旅費として使用したい。
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