研究課題/領域番号 |
20K00182
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
金 貴粉 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (20648711)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 朝鮮書芸 / 近代朝鮮史 / 書画 / 韓国美術 / 朝鮮文化史 |
研究実績の概要 |
本年度(2022年度)は、国内外の諸機関において、関連作品資料調査を行うことができた。特に今年は新型コロナウィルスの感染が落ち着いてきたため、本研究テーマである近代朝鮮の「書」が創出した新たな価値の解明を行うため、海外における調査を重点的に行った。 特に、韓国の国立中央図書館では呉世昌文庫において書芸関連資料調査を行い、呉世昌ならびに父親である呉慶錫の学書について調べをすすめることができた。 また、国立中央博物館では呉世昌ならびに近代書画作品の実見および調査を行うことにより、朝鮮近代の書作品が同時期の中国からの影響を多大に受けていることが明らかになった。 また、同時期に活躍した朝鮮人女性書画家についての資料調査も行い、その成果を第32回書学書道史学会(於盛岡大学)で「近代朝鮮における女性書画家の誕生」と題して成果発表を行うことができた。近代朝鮮において女性書画家がどのように誕生するに至ったのかという点について解明するにあたり、女性も入学が許された私設の書画学校や妓生が学んだ書画学校・教育について着目した。書画教育については近代朝鮮における初めての書画組織である書画協会の設立メンバーの一人であった金圭鎮らの活動が特筆される。彼らによって、どのように女性書画家が養成されていったのか、また彼女らがその後どのように活躍していったのかという点を主たる問題とし、その解明に向けて朝鮮美術展覧会等における出品作等を分析対象とし、検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初予定していた資料・作品調査を予定通り進めることができた。また、学会発表において研究成果報告を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまで調査を行った内容を精査し、分析・検討を加えていく予定である。個別の作家研究だけではなく、周縁におかれた女性書画家について考察を行うことができたので、今後は男性書画家らとの関係性をふまえ、合作作品を中心とした作品調査から明らかにしていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査のための旅費として使用する予定であったが、新型コロナウィルス感染状況により、当初予定していた海外調査を複数回行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。 来年度は感染拡大状況をふまえて、調査のための旅費として使用したい。
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