江戸時代後期の画壇では日本の古文化に関心が向けられ、やまと絵の古典を学び、復興しようとする動きが活発となっていた。その代表例として、復古やまと絵派や狩野派、江戸琳派などの作品が注目されてきた。それに対して江戸時代後期の住吉家については、「先祖の画風を墨守している」という低評価がなされることが多かったが、作品を具体的に見ると、上記の画派よりも早くより古画模写や古画活用、考証を意欲的に行っており、住吉家の創案した図様が狩野派や江戸琳派、復古やまと派にも影響を与えていることが明らかとなった。よって住吉家は江戸時代後期に隆盛するやまと絵復興の動きを盛り立てた重要な絵師たちであると新たに位置づけた。
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