研究課題/領域番号 |
20K00196
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
草原 真知子 早稲田大学, 文学学術院, 名誉教授 (40271366)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メディア考古学 / 視覚文化史 / デザイン / 衣装 / 日本文化 / 大衆文化 |
研究実績の概要 |
本年度9月に執筆した単著の論文"The panorama in Meiji Japan: horizontal and vertical perspectives"が視覚文化史研究の国際的なジャーナルであるEarly Popular Visual Culture, Volume 18, Issue 4 (2020) のメディア考古学特集号(2022年2月発行)に掲載され、5月初旬段階でダウンロード数150以上という、同時掲載の他論文を遙かに上回る数字を示している。 (https://www.tandfonline.com/toc/repv20/18/4) 本論文は明治期のパノラマ画や歌舞伎などの視覚エンターテインメントと模造富士山、浅草凌雲閣、気球乗りといった身体体験を伴う娯楽の分析を通じて「リアル」の概念や視覚文化の変容を分析し、それらと油絵、写真、印刷術などのメディア技術と社会制度の変革との関係について論じた。文字数の制約とジャーナルの非常に厳密なガイドラインにより、着物柄については直接触れなかったが、本研究のアウトプットの方向性に一定の手がかりを得た。 本研究では写真、油絵、演劇、音楽、新聞、ラジオ、絵はがき、映画をテーマにした着物柄に特に注目しており、上記論文と同時期及びそれに続く時代の視覚文化を扱っているため、この論文によって本研究の基板となる部分を構築し、その成果が一定の注目を集めていることは、今後の研究に大いに役立つはずである。 着物柄自体の研究としては、関連資料の調査と、着物端切れに見られる映画、歌舞伎、楽譜、マンガなどの年代の確認や当時の受容の状況についての調査を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍が終焉しないため、外に出て行う調査活動、すなわち関連施設の調査やインタビュー、国際学会への参加と意見交換などができず、手持ちの資料の整理とと文献調査中心の研究態勢にシフトせざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
資料の調査と個別の着物柄についての調査を続行し、それらが当時の大衆文化、視覚文化の中でどのような位置づけにあったのか分析を続ける。新型コロナの動向にもよるが、関連施設の訪問調査やインタビューなどを行うことで新たな知見を得る機会を増やす。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍の継続により、学会及び調査のための国内・海外出張が行えなかった。状況が好転すれば今年度は国内・海外出張ができることを期待している。
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