本研究は19世紀後半のフランスから20世紀前半のアメリカ美術の流れを、「都市」を切り口に、その影響関係を考慮しながら研究したものである。パリではナポレオン三世の統治下、セーヌ県知事オスマンが手がけた都市の大改造により生まれた近代都市とそこでのライフスタイルは、印象派や新印象派の画家たちにとって、新しい主題や様式を生み出す大きな着想源となった。一方、これら一連のフランス美術は、アメリカの画家たちにより積極的に学ばれ受容されたが、それはニューヨークの都市表象の主題にどのように反映されていったのか。パリからニューヨークの表象へと、都市への感心がいかに引き継がれ、展開されたのかを考察した。
|