研究課題/領域番号 |
20K00199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
蜷川 順子 関西大学, 東西学術研究所, 客員研究員 (00268468)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 聖母の聖心 / ハート形 / ネーデルラント / 見えるものと見えないもの / 風の表象 / ロヒール・ファン・デル・ウェイデン / 七秘跡 / 聖霊 |
研究成果の概要 |
西欧における聖心イメージの登場は、現存資料に基づくなら、シスマを終結させたコンスタンツ宗教会議の頃だったと考えられる。コンコミタンス(併存説)が正統となり、血でもあり肉でもある聖心の象徴性が重視された。また、教会の存立を強固にする七秘跡の制度化において、旧約の七秘跡の制度化がルネサンスの古代研究に刺激を受けたことや、秘跡をもたらす聖霊(羅:スピリトゥス)の原語に、大気や風を意味する古ギリシア語のプネウマ(ヘブライ語のルーアハ)があることがあきらかになった。これらの観念はただちにネーデルラントにもたらされ、聖心崇敬がすすむと同時に、ロヒール周辺で聖母の聖心についても新たなイメージ化がなされた。
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自由記述の分野 |
西洋美術史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
15世紀の初期ネーデルラント絵画は、キリスト教の目に見えない宗教的観念を写実的な現実世界に仮託することで、難解な教義を一般の人々にとって把握しやすいものとしてきた。そうした中でハート形は広く親しみやすいものとして人気を博し、強い影響力をもった。しかしながら、視覚イメージの常として曖昧な多義性を有するため、背後にある宗教的、政治的、社会的、経済的ファクターによるイメージ・リテラシーの変動を理解しなければ、その歴史的重要性を見過ごしかねない。本研究は、古今東西のイメージ受容の諸相において、看過するべきではない多義性や重層性を例示する点で、学術的・社会的意義を有する。
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