研究課題/領域番号 |
20K00201
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
吉原 弘道 九州産業大学, 基礎教育センター, 准教授 (50552212)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 美術史 / 日本刀 / 刀剣 / 刀剣書 / 刀鍛冶 / 押形 / 刀絵図 / 茎図 |
研究実績の概要 |
1、茎図集(押形集)・刀絵図集の調査・収集として、出版された複製本(『光徳刀絵図集成』・『光山押形』・『継平押形 附本阿弥光徳同光温押形集』など)を入手し、各機関に複写依頼をして写本(押形集・刀剣書・名物帳など)を収集した。 2、絵図史料(茎図・刀絵図)の整理として、入手した「本阿弥光心押形集」・「本阿弥光徳刀絵図」・「本阿弥光悦押形集」・「本阿弥光温押形集」・「本阿弥光山押形(本阿弥光貞押形)」の画像を日本刀1振ごとに整理する作業を行い、1振ごとに目録化作業及び注記などの翻刻作業を進めた。さらに、収録されている名物刀剣は、入手した名物帳の写本で該当するものの翻刻作業を進めた。 3、目録化作業及び翻刻作業の成果を基にして、絵図史料のデータベース化として「光心押形集」・「光徳刀絵図」・「光悦押形集」・「光温押形集」・「光山押形(光貞押形)」に採録されている日本刀1振ごとに種別(茎図・刀絵図)+銘文+注記を入力した。 4、前年度から作業・分析を続けてきた「往昔抄」については、「「往昔抄」の伝本と収録刀剣(二)」として論文を発表した。本研究では、「往昔抄」の書誌学的な伝本研究を前進させ、美濃斎藤氏による刀剣書編纂の実態を明らかにした。その結果、十六世紀の初めに本格的な〝目利書〟が成立していたことを証明できた。「光徳刀絵図」については、別々にデータベース化した石田本(岩瀬文庫「古剣之図」を利用)・毛利本・堅田本(奈良原氏論文を利用)・大友本・三矢本・埋忠本の照合作業を進めた。 5、日本刀関係書籍の調査・収集として、出版された日本刀関係書籍を収集し、平安~戦国時代に製作された現存する名刀の情報を調査・収集した。 6、日本刀関係書籍からの収集成果を基にして、現存する名刀のデータベース化として収集した情報を日本刀1振ごとに種別(太刀・刀・脇指・短刀など)+銘文+作刀時期+作刀地域+流派を入力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症のため史料調査ができず、当初の計画を大幅に変更して研究対象を本阿弥家の代表的な刀絵図・茎図集(押形集)である「本阿弥光心押形集」・「本阿弥光徳刀絵図」・「本阿弥光悦押形集」・「本阿弥光温押形集」・「本阿弥光山押形(本阿弥光貞押形)」に絞り込んで作業を行った。対象を絞り込んだことにより、「光心押形集」・「光徳刀絵図」・「光悦押形集」・「光温押形集」・「光山押形(光貞押形)」の翻刻作業・データベース化作業が進捗した。さらに、前年度から作業・分析を続けてきた「往昔抄」については、「「往昔抄」の伝本と収録刀剣(二)」として論文を作成して発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は新型コロナウィルス感染症のためできなかった史料調査を進める予定であるが、新型コロナウィルス感染症の状況に応じて研究計画を変更・調整しながら計画を進める。茎図集・刀絵図集の調査・収集は、できる限り各機関で原本による史料調査を行ったうえで必要なものを撮影・複写依頼して収集する。収集した絵図史料(茎図・刀絵図)の整理は、日本刀1振ごとに画像を整理して目録化作業及び注記などの翻刻作業を行い、種別(茎図・刀絵図)+銘文+注記を入力してデータベース化を行う。日本刀関係書籍の調査・収集は、日本刀関係書籍を入手して平安~戦国時代に製作された現存する名刀の情報を収集する。収集した現存する名刀の情報は、日本刀1振ごとに種別(太刀・刀・脇指・短刀など)+銘文+作刀時期+作刀地域+流派を入力してデータベース化を行う。そのうえで、絵図史料データベース、現存する名刀データベース、応募者が作成中の中世刀鍛冶の総合デーベースの3つの照合作業を行い、茎図集・刀絵図集に採録された日本刀を製作した刀鍛冶の比定作業を行って絵図史料採録刀剣データベースの構築を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が生じた理由は、新型コロナウィルス感染症の拡大により、年度末に予定していた史料調査(出張)ができなかったためである。次年度、新型コロナウィルス感染症のためできなかった史料調査(出張)を行う予定である。
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