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2022 年度 実施状況報告書

藕糸織の基礎的研究-非破壊調査による藕糸織の再検討を中心に-

研究課題

研究課題/領域番号 20K00206
研究機関北九州市立自然史・歴史博物館

研究代表者

富岡 優子  北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (20508957)

研究分担者 北澤 菜月  独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 主任研究員 (10545700)
大橋 有佳  公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10804388)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード蓮糸織 / 伊逹虎一 / 藕糸 / 大隈三井子
研究実績の概要

1.奈良国立博物館で開催された「中将姫と當麻曼荼羅」展で蓮糸織体験ワークショップを行った。参加者には研究成果を踏まえた蓮糸(藕糸)に関わる説明をし、その上で蓮糸を紡ぐ体験をしてもらった。その後、蓮糸を使用したコースターを手織りで織ってもらい持ち帰ってもらった。参加者からは蓮糸に関する様々な質問があり好評を得た。
2.京都・西陣織会館にて福聚寺所蔵の藕糸織仏画の制作にも使用されたと考えられる空引機の実演を調査・撮影した。西陣織会館での実演は13年振りであり、実演出来る職人も限られるという。また空引き機の後継機であるジャガード機に関わる職人の実演も見学し、撮影や聞き取りなど行った。昔ながらの方法で綜絖を制作する職人、下絵をもとに紋紙を制作する職人、織手など一堂に会する機会は貴重であった。
3.香川・八栗寺の阿弥陀三尊来迎図の調査を行った。当該図像は基底材(絵が描かれている素材)が蓮糸で作られている可能性があると香川県の調査で確認されていた。繊維の特定を目的として、基底材の拡大観察および赤外分光分析による成分分析を行った。その結果、経糸と緯糸は共に藕糸であることが明らかとなった。この結果は、当該図像の藕糸の判別に上記二つの手法が有効であることを示す一事例となった。
4.藕糸織弘法大師像の調査を行った。本図は大隈重信の母三井子が米寿の記念に四国八十八箇所霊場に納めるために藕糸を紡ぎ、これを西陣の職人伊達虎一が繻子地に藕糸(染色)、金平糸、金糸、絹糸を用い制作したもののようであった。古美術商での販売品であり、分析などを行うために購入した。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

「中将姫と當麻曼荼羅」展の展示図録およびワークショップで研究の成果を一部公表することができた。
また新型コロナウイルスの蔓延で調査を延期していた八栗寺作品についての調査を行うことができた。本図は17世紀後半の作品とみられ、小倉・福聚寺の藕糸織仏画と同じく藩主の妻が制作に関わっていることが分かった。17世紀後半の藕糸にまつわる女性の信仰など類例が増えた形となった。
また、大隈三井子が藕糸を紡ぎ、京都・西陣の伊達家の人々が制作した藕糸織についても、ジャカードの普及で同じ図柄の多くの作品が制作されており、四国八十八所の寺院や関東や佐賀の寺院に納められていることが分かってきた。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルスの感染拡大により延期としていた東京・浅草寺の調査、また先に購入した大隈三井子が藕糸を紡ぎ、伊達虎一が制作した弘法大師像について科学調査を行う予定である。また京都・西陣織会館には大隈三井子が藕糸を紡ぎ五世伊達弥助(1838~92)が織った藕糸織作品が所在しており、これを調査したい。
また、研究のための蓮糸の採取も行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者の育児休業があり、また新型コロナウイルス感染拡大防止の観点で中止をした調査などがあったため、次年度使用額が発生している。延期をしていた調査などに使用していきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 我が国最古の藕糸織2022

    • 著者名/発表者名
      富岡優子
    • 雑誌名

      中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―

      巻: 0 ページ: 166-169

  • [雑誌論文] 総論 中将姫と當麻曼荼羅2022

    • 著者名/発表者名
      北澤菜月
    • 雑誌名

      中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―

      巻: 0 ページ: 6-12

URL: 

公開日: 2025-12-26  

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