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2024年度は下記のとおり研究を行った。 ・藕糸の採糸(6月12日、7月27日、8月6日、8月16日):計4回のハスの茎を収穫し、季節のによる藕糸の採糸量を比較検討した。 ・近赤外線と顕微鏡観察を併用した藕糸作品の調査(5月2日「浄土曼荼羅」福岡・個人蔵、5月3日「藕糸織仏画」福岡・福聚寺、11月2日「蓮曼荼羅」兵庫・個人蔵):これまで赤外線分光法(FTIR)による分析を行っていたが、持ち運びなどが容易な近赤外分光法(NIR)によって藕糸の判定が出来るか否かの実証実験を行った。 ・シンポジウムでの発表(10月20日):仏教文学会二〇二四年度大会のシンポジウム「広がる中将姫説話と當麻曼荼羅―中世から近世へ―」に於いて、研究成果の発表を行った。 研究期間の前半は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、限られた調査を進めるほかなかったが、藕糸作例の一部について確認調査を進めることが出来た。また藕糸の採取を実際に行うことにより、藕糸織制作の具体的な様相が見えてきた。採取した藕糸を実際に織物にする作業を通じ、藕糸が強い繊維ではないなどの特性から織物としては一般に普及ぜず、女性の信仰の中にとどまったとも考えられた。また調査および分析の方法については、藕糸の特徴である螺旋状に並列した繊維が顕微鏡観察下で見ることが出来るかという点が最も重要であり、加えて赤外分光法や近赤外分光法などでこれを補強する。もしくは螺旋状の並列した繊維を確認することが困難な場合の鑑定に有効であることが確認できた。藕糸織鑑定の基礎的な方法を確立できたと言えよう。
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