最終年度は、ストックホルム東アジア美術館にて開催された展覧会『Juxtaposing Craft』に招待され参加することができた。本展覧会は、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの北欧3カ国及び日本におけるクラフトに焦点を当てた企画であり、研究成果の一部を公開した。また、現地に滞在している間、コロナ禍により実施することのできていなかった調査を行った。展覧会は非常に多くの来館者が訪れる結果となり、展覧会に合わせて研究発表となる講演会も実施し、展覧会カタログも出版される事となった。本展覧会は、会期終了後はスウェーデン国内の他の都市での巡回も計画されている。 学術標本の3D計測についても実施しており、データとしての保存を強化すると共に研究期間終了後も継続して復元制作を進めていく。復元した模型の一部は東京大学総合研究博物館インターメディアテクにて公開中であり、ストックホルムでの展覧会と合わせて、継続して波及効果が期待できるものでもある。フランス、アンリポアンカレ研究所においても研究成果の一部をパネル形式で公開する計画があり、本研究に関係する成果は継続して公開されていく予定である。 本研究期間全体を通して考えると、研究開始となった時期とコロナ禍が重なり、2020年度、2021年度は国内外の研究機関での調査等は実施することができない状況であった。研究計画への影響が出る部分がありつつも、順調に計画を進めることができた。本研究は、数理模型を含めた同時代の石膏製学術標本の保存方法に大きく寄与するだけでなく、博物館展示事業として、現代芸術分野との横断的な展示公開を通じて様々な領域に波及効果をもたらす可能性を持つため、継続して研究を進めていく予定である。
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