研究課題/領域番号 |
20K00211
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
三枝 一将 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (60529949)
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研究分担者 |
桐野 文良 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10334484)
平 諭一郎 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10582819)
古川 聖 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (40323761)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音響彫刻 / バシェ / 保存 / 修復 / アーカイブ / 3D |
研究実績の概要 |
本研究は、1970年にフランソワ・バシェによって制作された17基の音響彫刻作品のうち既修復の6基と残存部材について、3DCADデータ化と材料分析による再制作可能なアーカイブの作成を行い、演奏されることが作品の重要な要素となるバシェ作品について、 活用に重きを置いた保存方法の検討を行うものである。2020年度においては、既修復作品の採寸調査と3DCADデータ化を中心に進め、研究会、シンポジウムに登壇して研究内容について意見交換等を行った。 2020年6月2日から7月12日に川崎市岡本太郎美術館で開催された「音と造形のレゾナンス-バシェ音響彫刻と岡本太郎の共振-」展に「勝原フォーン」を出展し、期間中に「川上フォーン」「高木フォーン」「桂フォーン」「渡部フォーン」の詳細な採寸調査を行い、3DCADデータ作成を進めた。 「芸術における真正性と同一性の保存 ―リバース・コンサベーションの確立」(代表:平諭一郎 JSPS科研費JP19H01221)の研究会に登壇し、研究内容について解説して意見交換を行った。京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAにて2020年11月7日から2020年12月20日に開催された「バシェ音響彫刻 特別企画展」において、東京藝術大学で修復された「勝原フォーン」の修復記録や修復後の活用事例、活用による劣化の問題点等をパネル展示にて紹介し、ギャラリートークに登壇して本研究の意義などについて解説した。期間中に行われたオンラインによる国際シンポジウムに登壇して、フランスバシェ協会、バルセロナ大学、ケベック大学モントリール校、京都市立芸術大学の研究者と、バシェ音響彫刻の教育的活用ついての各取り組みを紹介し、今後の研究ネットワーク体制について共有した。上記2つの展覧会中に、2010年から2013年に行われた修復について関係者に当時の修復状況や材料について情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時の計画では、2020年度は東京藝術大学に保管されている残存部材の3DCADデータ化を進める予定であったが、川崎市岡本太郎美術館での展示に既修復作品5基が集まる為、既修復作品を先行して進めることとした。現状では、既修復の6基の作品のうち、5基についての3DCADデータ化が90%程度進んでいる。残り1基については、大阪にある為に新型コロナの影響による移動制限により、調査が不足している。また、蛍光X線による材料分析も新型コロナの影響による移動制限により、遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も新型コロナ感染状況による影響が懸念される為、2021年度は東京藝術大学に保管されている残存部材の3DCADデータ化と、材料分析を進める。平行して、修復されたバシェ作品の活用に付随する、再組立、音響調整についての指示の問題について検討して指示書の作成を行い、2021年9月に東京藝術大学美術館で開催予定である美術作品の保存活用における再演と指示書をテーマとした展覧会に出展して、保存活用におけるバシェ作品特有の視点を提示したい。全体指針としては、3DCADデータ化と材料分析を中心とした再制作可能な客観的なデータの構築を優先しつつ、バシェ作品の特性に即した継続的な保存、管理、活用について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
京都、大阪への材料分析調査が、新型コロナの影響で延期している。行われ次第、旅費、謝金での支出を行う。 3DCAD用PCについて、今年度は既存PCで事足りたが、今後データ量が増えるため2021年度に新規購入する。
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備考 |
「バシェ音響彫刻 特別企画展」2020年11月7日-12月20日、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAにおけるパネル展示
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