研究課題/領域番号 |
20K00219
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
山田 晴通 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (40191324)
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研究分担者 |
東谷 護 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (10453656)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ポピュラー音楽 / 労音 / 岐阜県東濃 |
研究実績の概要 |
ポピュラー音楽に付されたイメージの一つにマス・メディアとの親和性が高いことがあげられるが、本研究課題の目的は、マス・メディアに依存しないポピュラー音楽の広がりの解明にむけてポピュラー音楽を支えた「場」や無名性に着目し、実民俗音楽的要素をもつ伝播について民族誌的に再構成することである。 本課題採択前に研究分担者の東谷護が科研費・挑戦的萌芽研究(平成23年~26年度、研究課題番号:23653275、研究代表者)の研究成果として、岐阜県の中津川労音の機関誌を冊子体にまとめていた。この機関誌すべてについて研究代表者の山田晴通と研究分担者の東谷で精読し、上述したポピュラー音楽を支えた「場」としていかなる働きをなしたかについて、再三、議論を交わした。 基礎資料の整備を目的とした書籍、東谷護(編著)『復刻 資料「中津川労音」』(風媒社、2021年3月)を刊行することが出来た。この書籍のなかに、東谷は全国労音と地方労音との差異に着目した上で、中津川労音の活動を系譜的にまとめ、中津川労音がいかなるものでどのような働きをなしたのかという論説を収めた。山田はこの書籍の索引作成を担当した。さらに、中津川労音における公演者に着目し、地方労音の持っていた理想と実態についてまとめた論文を紀要に掲載した。 コロナ禍であったこともあり、残念ながら現地調査が出来なかったが、一次資料の精査から書籍と論文を発表することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍と、研究代表者の山田が大学の要職についたことによって、現地調査に割く時間がとれなかったため、マス・メディアに依存しないポピュラー音楽を支えた「場」として、地方労音に着目した。 研究代表者と分担者がそれぞれ、中津川労音の機関誌すべてを読み解き、共同研究として数回にわたって議論を交わした。なお、この機関誌は、本課題採択前に研究分担者の東谷護が科研費・挑戦的萌芽研究(平成23年~26年度、研究課題番号:23653275)の研究成果として、岐阜県の中津川労音機関誌を冊子体にまとめていた。 上述した機関誌については基礎資料の整備を最大の目的として、書籍として上梓することが出来、研究成果として論説1本を書籍に収め、論文1本を紀要に収めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
マス・メディアに依存しないポピュラー音楽を支えた「場」については、今年度と同様の方向で、一次資料を読み解くことを地道につづけていくが、無名性については、研究対象を絞り込む議論を行った上で、慎重に進めたい。 いずれにせよ、コロナ禍が収まらないという前提で、申請書にも記した万一、研究が進まなかった時に、研究分担者がこれまで進めてきた研究で収集した一次資料を基にそれらの分析を中心に研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍であったことと、研究代表者の山田が大学の要職についたため、現地調査を行うことが時間的にも難しかったことが、予算の次年度使用が生じた最大の理由である。 使用計画として、1年目に精査した中津川労音の機関誌に記述されていた内容を現地に出向き、追跡調査できるものに対して行う。これにかかる旅費と現地での資料収集に使用する。また、併行して、無名性についての研究対象を絞り込む議論に必要な書籍、資料費(複写代含む)に使用する。
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