研究課題/領域番号 |
20K00226
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮原 克人 筑波大学, 芸術系, 准教授 (80400662)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 工芸 / 農閑工芸 / 民藝 / ほうき / 植物素材 / 造形教育 / 美術教育 / ワークショップ |
研究実績の概要 |
農閑工芸は、身近な山林資源や農業の副産物を利用してきた。わずかな道具で建物や容器、そして衣服などを作る「軟質文化の造形」手法が取られる。本研究の目的は、地域資源を有効に扱ってきた農閑工芸の思考を、現代社会に広く適用するデザイン手法の提案である。 本研究では、日本の各地において古くからの作り方が残るホウキを取り上げ、①一般社会で展開するホウキ作り(一般化)②植物資源の循環を生むホウキ作り(特殊化)を検討し、新たな造形プログラムを開発する。①②の成果を活用し、地域の環境と文化が共存する、もの作りを核とした新たなコミュニティーの創出を目指す。①の一般化を推進するために考案・作成したデザイン性の高いホウキの作り方マニュアル冊子を活用し、ワークショップを開催した。つくば市前野小学校、つくば市美術館、カフェなどで複数回開催した。また、保育園の保護者を対象にワークショップを開催し、保護者が保育園にて指導者としてワークショップを開催するための指導を行った。福島県立博物館で開催したワークショップでは、地元のミゴ(ワラの穂)を調達し実施した。①②に関わるワークショップ実施の際、ホウキモロコシの栽培から採取、素材の調整から制作までの1年間の工程を撮影した動画を活用し、植物素材を用いる造形手法を示すことができた。本研究で考案したホウキの作り方を「つくば式」として、児童向けの書籍「イチからつくる ホウキ」に掲載・出版した。①②を社会で実践しながら、もの作りを核とした新たなコミュニティーの創出を検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
沖縄県や福島県にて植物素材の造形手法に関わる調査を予定していたが、コロナ禍において実施することができなかった。本研究を進めるにあたり、地域住民と実施するワークショップの開催が必須であるが、それもコロナ禍において実施することができなかった年度があり遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
植物素材を活用するホウキの造形手法について改良を続け、ほうきづくりのマニュアルや動画などを整備して、オンライン開催も含めたワークショップの手法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、本研究に必要な調査やワークショップを予定通りに実施できない状況があった。研究期間を延長してワークショップを複数回実施する。
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