研究課題/領域番号 |
20K00238
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
蔡 美京 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (40867222)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 日韓併合時代 / 朝鮮総督府 / 韓国伝統舞踊 / 太平舞 / 韓国宮中衣装 / コリアン・アイデンティティー / 韓国重要無形文化財 / 朝鮮王朝 |
研究実績の概要 |
学会発表:「韓国文化学会」甲南大学2021年9月18日 課題:「韓国重要無形文化財≪太平舞≫における服飾の変遷」発表を行い、日韓併合時代に創作された≪太平舞≫衣装の写真を比較検討した結果、以下のように考察した。 ①朝鮮王朝の王と王妃の衣装で踊るように創作されたのが≪太平舞≫であるが、その衣装を禁じられた韓成俊(ハン・ソンジュン)は、王朝が受け継いできた憧憬の対象である新羅の伝統を重んじ、朝鮮王朝の臣下の最高の衣装を基に新羅の衣装を創作して踊ったと考えられる。禁止されずに上演できるからである。②朝鮮総督府の圧力下であっても、伝統舞踊を創作し、衣装までも創作して演じる気構えと伝統継承の意思が、創作者のコリアン・アイデンティティーを示している。③今日では、朝鮮王朝時代の王の服飾を着用して《太平舞》及び韓国伝統舞踊を上演・伝承している。また、併合時代が終わる前に他界した韓成俊は「弟子たちに遺体に《太平舞》の衣装を着せるように」と言い残したほど、朝鮮王朝の象徴である《太平舞》を大切にしていた④混迷の時代において、《太平舞》を創作した意図は舞踊におけるコリアン・アイデンティティーの可視化であったと思われるが、それは弟子たちにより継承されている。 「日本スポーツ人類学会会報」「ス ポ じ ん」 46号、2021年12月 『私の研究テーマ』第16回。研究紹介~『日韓併合時代における韓国伝統舞踊の再創造-混迷の時代の新しい芽吹きと継承-』の課題で、筆者の研究背景及び韓国での研究出張の結果報告と今後の研究方向性に関して記載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年4月から11月の間、韓国での研究出張の主な目的は、科研費の研究計画の成果を目的とし以下の通りに調査した。 ①日韓併合時代の朝鮮総督府の文化政策に関する韓国側の記録と日本側の公的記録がどの くらいあるのか、について当時の新聞記事、雑誌を中心に調査した。 ②伝統文化(芸能)に関する記録はどのくらいあるのか、上演された記録のある新聞記事、雑誌、写真などを調査しました。伝統芸能で韓国音楽、歌(民謡・パンソリ)、楽器演奏者、町の旅芸人(サーカス・薬や物売り屋)、仮面劇などに関わった方や親族、友人への取材もできた。 ③伝統舞踊の記録について調査した。併合時代に上演された劇場、新聞記事、雑誌、写真、プログラム、インタビュー記事、映像資料などの記録について詳細に調査した。また併合時代を経験された方々、及びその弟子やご親族、友人への取材もできた。上記の調査の結果を学会発表、投稿論文記載に進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
①第31回 比較舞踊学会大会 2022年10月16日 明治大学 課題:「芸能・舞踊における「男芸」と「女芸」において、シンポジウム 東アジアの舞踊における「男芸」と「女芸」において、韓国伝統舞踊における「女楽・男楽」を課題として発表する。 ②論文投稿予定 広島市立大学課題:「韓国重要無形文化財≪太平舞≫の創作背景と衣装検 証―日韓併合時代を中心に―」③論文投稿予定 比較舞踊研究課題:「韓国舞踊家 金白峰の作品世界―日本で萌芽した舞の道―」
|