研究課題
基盤研究(C)
朝鮮王朝時代に巫女が即興的に踊った「王の舞」を韓成俊(1875-1941:ハン・ソンジュン)が古典により再編し、≪太平舞≫と名付け、伝統舞踊として再創造した。本研究は、まず先行研究では触れられてない、日韓併合時代に着用した≪太平舞≫の衣装と装束に着目した。その結果、王の衣装ではなく、朝鮮王朝時代の文武官の衣装で踊った事を解明した。また伝統舞踊が再創造された意義と、朝鮮(韓国)の民族的矜持、「朝鮮音楽舞踊研究所」の活動、現在の韓国重要無形文化財となるまでの過程とその意義を明らかにした。
比較舞踊論、韓国伝統芸能(舞踊)、舞踊文化史
政治的・文化的抑圧下での、民族的矜持による朝鮮(韓国)伝統舞踊の再創造を、日本語によって研究を行う事が意義深いと考える。両国の公的史料だけでは知りえない、伝統芸能者への取材などにも基づく本研究が、日本の伝統芸能研究者・実演者にとっても別の観点から伝統舞踊継承の理解に繋がると考える。また植民地支配を受けた地域における伝統継承の在り方にも一石を投じることになると考える。