研究課題/領域番号 |
20K00239
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
奥村 賢 明星大学, デザイン学部, 教授 (30552583)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 映画保存 / 映画上映 / ドキュメンタリー映画 / 映画遺産 |
研究実績の概要 |
本研究全体をとおしての核心となる眼目は、NAVL(映像カルチャーホール)所蔵の映像コレクションの効果的な活用の方法や形態を探ることであった。なぜなら、このコレクションはいまだにあまり人の眼にふれることがないからである。このことはとりもなおさず、優れた映像遺産が存在するにもかかわらず、その有効活用が事実上まったくなされていないことにほかならない。コレクションの円滑かつ有益な活用を阻害している最大の要因は、すべての外国映画に日本語が添付されていないことであった。本年度は、この問題を解決するべく、いよいよ字幕挿入などの日本語添付の方法を具体的に探っていくことになった。 まず、対象フィルムの選択にかかったが、所蔵フィルムの変動もあり、予想以上に時間を要した。最終的に、イギリス映画とフランス映画を各1本ずつ選び、イギリス映画、フランス映画の研究者に各々の音声原語の日本語訳を依頼した。日本語訳が整った段階で、次に明星大学で映画の上映ホールを借り、日本語を添付しての実験上映を試みた。日本語添付の一般的方法は2種類ある。ひとつは字幕投映方式で、もうひとつは同時通訳方式である。上映フィルム2本とも、それぞれの方式を試みたが、このとき数人のモニター(視聴者)に参加してもらい、その効果を図ることにした。モニター調査では選択肢と自由記述のアンケートを利用したが、それぞれの方式が視聴者にどれほどの効果をあたえたかが、把握できる体裁になっている。 次年度にこれらの本格的な集計をおこなうが、今回の実験によって、日本語添付の方法にある一定の方向を見出すことができたのではないかと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度も報告したが、今回の科研費研究は水害によるNAVL(映像カルチャーホール)所蔵コレクションの損傷やコレクションの保存場所の変更など、予想外の出来事が起こったなかで実施しなければならなかった。前年度はそのことによる影響はそれほどなかったが、今年度は、その余波でこちらが事前に念頭に置いておいた作品が使えず、実験にふさわしい適当な作品を選定するのに苦労することになった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は前年度の日本語添付実験の成果を踏まえ、シンポジウムを開催して研究成果を広く問うことにしたい。また、所蔵コレクションの内容に変動が生じているため、現時点で上映可能なフィルムのみのデータベースも構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、いつもの業者に使用可能フィルムの事前調査を依頼する予定だったが、業務委託しようとしたとき、先方のいままでの担当者が急遽、変わったため、その引継ぎ作業が生じ、同作業を次年度に持ち越すことになったため。
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