本研究は、2016年度から2018年度にかけて実施した科研費研究「『日本映像記録センター』の研究 ~眠る映画遺産の発掘~」を次の段階へと発展させたもので、今回の研究では、「映像利用」という視点からこの一大コレクションの存在意義をいっそう明確なものにすることを最終目的としたするものである。 この目的のために、まず全作品のデータベース化を実施するとともに、日本語訳のモデルケースを作成して映画作品への日本語添付の可能性も探り、より活用しやすい環境を追求、整備したうえで、その効果的な利用方法や利用形態を調査、分析、提示することによって、本コレクションがわが国の学術研究や文化活動の発展に大きく寄与していくであろうことを明らかにしていった。 具体的にはまず令和2年度~令和3年度にかけて、研究代表者(奥村)の統括、指揮のもと、年間に約400本単位でデータベースを構築しながら、映画作品で使用される原語について日本語訳の作業も同時並行で進めていった。令和4年度(最終年度)では、データベースの完成を受けて、コレクションの活用方法・活用形態に関する調査、分析の実施に着手した。最初に映画作品への日本語添付の可能性を探るためのモデルケースを複数作成し、これらを用いてモニターを対象に映画視聴のアンケート調査(①同時通訳方式と②日本語字幕投映方式の比較検証)をおこない、この結果をもとにコレクションのさらなる活用に資する有効性のある案を作成、ついでその成果をシンポジウムで公表した。
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