本研究は2つのパートで構成されている。研究の第一段階である成功4事例の比較研究から、価値創造メカニズムとして、表面上の経営戦略としては異なっているが、各々の経営者のこれまでの経験に裏付けられた価値観を経営哲学の中心に据えた経営戦略を徹底させているという点については共通していることがわかった。次に研究の第二段階として、地方小規模映画館における成功の典型としてのシネマ5(大分市)の事例研究からわかったことは、顧客がシネマ5での映画体験を通して、1)アイデンティティの脱構築、2)映画体験の浸透による新しい価値の吸収、3)アイデンティティの再構築、という価値創造プロセスが作用しているということである。
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