| 研究課題/領域番号 |
20K00254
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| 研究機関 | 明海大学 |
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研究代表者 |
矢島 ますみ 明海大学, 経済学部, 教授 (80220135)
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| 研究分担者 |
前田 利之 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (70320041)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 上方舞 / 吉村流 / 芸風 / 作品映像 / 動作分析 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、上方舞の“吉村流の芸風(舞の特徴）”を、過去に収録された作品の映像を用いて、ダートフィッシュ社のソフトウェアの映像分析機能を利用して検証し、保存する4年間の研究であり、本年度は2年目に当たる。
映像資料は、吉村流四世 吉村雄輝（人間国宝 1923年2月2日 - 1998年1月29日）、および六世 吉村輝章（現家元 1947年 - ）の舞台映像である。分析の視点は、四世「雄輝」と六世「輝章」の舞の共通性・類似性、同調性（タイミングと軌跡等）、および、両者の舞の差異の検証であり、吉村流が引き継ぐ芸風のエッセンスを客観的に浮き彫りにし、古典芸能の芸の伝承という点から、有益な情報を保存することを目的とする。
本年は、１年目研究を受けて、4世雄輝と6世輝章の上演作品『桶取』の「（歌詞）心根を映す姿のナア踊りの手(手事)」の映像の一部を分析対象とし、１）ストローモーション機能を利用した動作の軌道の違いの検証、および２）編集モジュール（ドローイングツールやトラッキング機能）を利用した数値化による動きの可視化を行った。分析映像は、4世雄輝「41歳」「62歳」「64歳」「71歳」「74歳」時、および6世輝章「40歳」「44歳」「54歳」「56歳」「57歳」時の『桶取』映像の一部である。
今回の分析対象は、吉村流の演目全体（大演目約180曲 中・小演目約170曲）のごく一部であるが、①4世と6世の動き比較では、１）ストローモーション分析から扇動作の軌跡の違いが見て取れ、２）編集モジュールによる分析からも、扇を動かす速度（加速度）の違いが浮き彫りになった。②4世、6世の年代比較では、１）両者とも年齢とともに扇の軌跡形状が変化する（ばらけてくる）傾向がみられ、２）扇の動かす速度分析では、4世は、若き時代に加速度がある動きを行い、6世は年齢を経て加速度がある動きを行うようになっていた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DVD収納された作品映像が600枚あり、その内容（演目、演者、日時、場所等）のデータベースの作成、および、対象となる映像（研究に使えそうな映像）のリストアップに想像以上に時間がかかってしまった。さらに、分析対象とする作品の部分抽出にも、カメラアングルや、解像度の点で、かなり手間取った。そのために、実際に、分析できた映像が当初の想定よりもかなり少ない。
しかし、分析のプロトタイプが作成できたことにより、映像分析を進めるにあたり、今後、早い段階で問題点や改善点を確認することができるので、大きな研究の進歩と考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
今回は、4世吉村雄輝と6世吉村輝章の上演作品『桶取』を用いて、「（歌詞）心根を映す 姿のナア踊りの手(手事)」部分を抽出し、１）”ストローモーション機能”を利用した動作の軌道の違いの検証、および２）”編集モジュール（ドローイングツールやトラッキング機能）”を利用した数値化による動きの可視化を行うプロトタイプづくりに留まっている。
次年度の課題は、
①4世雄輝と6世吉輝章に共通する作品（部分）をできるだけ多く抽出することである。分析対象の映像は、既存の映像ゆえに、ある程度の解像度があり、同時に、カメラアングルが同じもの（できれば正面から撮影したもの）を抽出することがかなり困難であるが、ストックされている映像を細かくチェックすることによって、比較分析に値する映像をより多く抽出することが第一の課題である。。
②分析対象（ケース）を多くすることによって、『4世と6世の動き比較』と『年齢による舞の変化』の客観的な比較検証となるように分析を進めたい。
③さらに、ダートフィッシュ・ソフトは高度な分析機能を有しているので、１）ストローモーション機能、２）編集モジュール（ドローイングツールやトラッキング機能）の一層高度な利用方法を学習し・取り入れるとともに、ソフトの他のツールの利用も含めて客観的な分析結果が導けるように模索していきたい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度の2020年度に実施することになっていた、研究者の対面によるコミュニケーション、および学生を使った分析作業に関して、コロナ禍の影響を受け、2021年度もなかなか思うように実施できず、差額が生じたままとなっている。3年目の2022年度は、新型コロナ感染もある程度落着きを見せるであろうと予想し（期待し）、鋭意、段取りよく、作業を進めていきたい。
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