研究課題/領域番号 |
20K00266
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大庭 良介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30447883)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 科学史 / 科学計量学 / 生命科学 / 医学 / 萌芽的トピック |
研究実績の概要 |
萌芽的科学技術の創出原理を解明することは科学技術の発展促進に不可欠であり、科学技術政策や産業投資にも貢献する。また、科学史・科学社会学分野でも課題となる科学者コミュニティの役割の理解にも重要である。申請者は、生命科学分野最大の文献検索エンジン PubMed で検索できる全論文を対象に、独自の萌芽的科学技術トピックの同定方法を開発し、また、その萌芽的トピックが創出されるプロセスを明らかにしてきた。本研究では、研究者・地域国際性・研究費という研究活動の原動力の、萌芽的科学技術の創出への関与の仕方を、具体的仮説とともに計量学的に検証することで、人・文化・資金が萌芽的科学技術の創出プロセスへ果たす役割を解明することを目的としている。2020年度は、このうち人に着目し、萌芽的トピックを発表した研究者が、その前後5年間において同じトピックに関与する程度について解析した。その結果、①通常の萌芽的トピックの創出には、少人数チームによる継続的な論文発表が重要になったこと、②ノーベル賞級の萌芽的トピック創出には、より少人数チームの論文発表には顕れない活動が重要になっている。③萌芽的トピック創出後の研究の発展は、ノーベル賞級の如何に関わらず、そのトピックを発表した研究者の継続的な研究が必要となっている、といったことが明らかとなってきた。これらの成果は現在論文として国際誌に投稿中である。また、COVID-19という萌芽的トピックの研究発展に関与する研究者の動向について並行して解析し、発生から2020年8月までに、従来ウイルスとは関係のない研究者たちが続々とCOVID-19の研究へ参入している様子も明らかとなった。本成果についても別途国際誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画中の人の動きに関して、2020年度中に解析を終了して国際誌に論文を投稿中であり、当初計画通りに進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究費に着目して萌芽的トピック創出への関与についてすすめる。特に日本の科研費と萌芽的トピック創出の関係について詳細に分析予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、海外渡航が適わなかったため。2021年度は、新型コロナウイルスによる海外渡航制限の状況次第だが、渡航可能となった段階で海外での調査を計画している。
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