萌芽的科学技術の創出原理を解明することは科学技術の発展促進に不可欠であり、科学技術政策や産業投資にも貢献する。また、科学史・科学社会学分野でも課題となる科学者コミュニティの役割の理解にも重要である。本申請では、研究者・地域国際性・研究費という研究活動の原動力の、萌芽的科学技術の創出への関与の仕方を、具体的仮説とともに計量学的に検証することで、人・文化・資金が萌芽的科学技術の創出プロセスへ果たす役割を解明することを目的としていた。2022年度は、まず、2021年度より開始した【戦略3】研究費の配分量と萌芽的トピック創出の関係を明らかについて、研究費が萌芽的科学技術の創出に与える影響についての研究結果をまとめて論文投稿した。2023年3月にリジェクトされたため、2023年4月に別雑誌に再投稿している。加えて、新たに、研究提計画で残されていた、【戦略2】 研究者・研究グループの地域性と萌芽的トピック創出の相関を明らかにする、について実施した。その結果、萌芽的研究トピックの地域性に関して分析を実施し、①各国の経済力と萌芽的トピック・ノーベル賞級トピックの創出および創出効率との相関関係、②研究トピックの地域的な多様化・画一化の歴史的傾向、③トピック多様性と萌芽的トピック・ノーベル賞級トピック創出効率の相関関係、について興味深い結果を得た。2023年5月現在、研究成果を論文としてまとめて投稿を準備中である。
|