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2021 年度 実施状況報告書

日本初の物理学者湯浅年子の科学観に対するマリー・キュリー研究室の影響

研究課題

研究課題/領域番号 20K00270
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

川島 慶子  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20262941)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード湯浅年子 / マリー・キュリー / 放射能 / ジェンダーと科学 / ラジウム研究所
研究実績の概要

この年度の最大の業績は、ドメス出版から『拝啓キュリー先生』として、湯浅年子を含むマリー・キュリーの女性の弟子や孫弟子、日本人については男性の弟子も含む多くの科学者を紹介した書籍を出版したことである。
また、これを機会に兵庫県の理科教員の集まりから講演を依頼され、マリー・キュリーとその研究室の方針について神戸で講演することができた。特にキュリーが力を入れた、理科教育における「実験」の重要性を強調し、高校における理科教育の目的などについて、キュリーの思想も交えて伝達することができたと考えている。
丸善から出版が準備されている『ジェンダー事典』でも、マリー・キュリーのコラムを担当し、湯浅年子への影響力も含め、「女性科学者」としてのロール・モデルの強力さについて執筆した。これはほかの執筆者の原稿が遅れているので、いまだ出版予定時期が未定である。
湯浅年子単独の実績としては、アメリカのフェミニストグループが作る「女性哲学者百科事典」のサイトに、「湯浅年子」を日本の知識人として紹介することができた。このサイトでは、通常は文学・哲学系の女性知識人を紹介しているので、科学者、それも日本の女性科学者というのは珍しい例である。したがって、湯浅の周辺情報もきちんと書き込み、この日本女性物理学者になじみのない読者にも理解できるように注意した。責任者からは湯浅の精神的師であったマリー・キュリーについても書いてほしいと頼まれているので、湯浅研究との関連でその原稿も作成していたが、まだ昨年度には完成できなかった。
コロナ禍のせいで、ひきつづきフランス渡航や湯浅年子、キュリーの日本人弟子関係者へのインタビューができないのでその方面の研究は進めることができなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

遅れている部分は全てはコロナ禍のせいである。フランスに行くことができないので、そこでしか閲覧できない資料についてなにもすることができない。日本でも、山田延男の関係者へのインタビューを計画していたがそれも、相手が高齢者のために実現が難しかった。しかも、一昨年小野田忠の子息が亡くなり、昨年夏には山田延男の子息も亡くなってしまい、結局コロナがおさまってもこの二氏にはインタビューすることができなくなってしまった。
これに関しては方針変更するしかなく、それを除けばおおむね順調に進んでいるともいえる。

今後の研究の推進方策

コロナ禍に加え、ウクライナ問題が出現し、いつフランスに渡航できるのかなかなか先が見えないので、フランスに行かずに研究を完成させる方向で考えたい。
主要変更点としては、当初より日本のことに力点を置きたい。湯浅を中心にして、二人のマリー・キュリーの日本人弟子である山田延男と小野田忠の年表を作成し、3人の類似・相違点を近代日本という観点から分析し、女性である湯浅の特殊性を調査する。また、湯浅と同じく留学生として外国の大学で科学研究をして、そこでの研究の継続を求められながら日本に帰国した津田梅子と、日本から脱出した湯浅年子との比較を行いたい。これについても、やはり近代日本とジェンダーという観点から比較したい。津田梅子については、全く同世代という意味で、マリー・キュリーとの比較も行いたい。そのうえで、マリー・キュリーの科学思想と湯浅のそれを比較して、湯浅の特徴を同時代の日本の科学者と比べてみたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で海外出張できなかったから。今年度に出張できれば、その費用に組み込みたい。できなければ研究報告書の印刷費に使用したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [学会発表] 理科教師キュリー先生2021

    • 著者名/発表者名
      川島慶子
    • 学会等名
      兵庫県高等学校教育研究会科学部会
    • 招待講演
  • [図書] 拝啓キュリー先生、マリー・キュリーとラジウム研究所の女性たち2022

    • 著者名/発表者名
      川島慶子
    • 総ページ数
      268
    • 出版者
      ドメス出版
    • ISBN
      9784810708578
  • [備考] Toshiko Yuasa

    • URL

      https://www.thenewhistoria.org/schema/toshiko-yuasa/

  • [備考] The Curie Family and Their Japanese Students

    • URL

      https://www.ne.jp/asahi/kaeru/kawashima/curiejapanesenewyork.pdf

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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