研究課題/領域番号 |
20K00271
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
中川 恵子 (末永恵子) 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (10315658)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 満洲 / 生活科学 / 七三一部隊 / 戸田正三 |
研究実績の概要 |
本研究は、帝国日本の膨張と不即不離に結ばれていた生活科学研究の歴史を掘り起こし、その成立と展開の軌跡を跡づけながら、植民地支配や戦争との関係を明らかにすることを目的とする。 2021年度は、Covid19の影響のため、海外の資料所蔵機関への調査が実施できなかった。また、国内も資料所蔵機関が一時閉館したり、閲覧の人数制限をしたりしていたため、計画通りに調査が進められなかった。しかし、近在の図書館所蔵の満洲における移民政策や軍事作戦、労働に関する医学研究の論文を収集し整理を進めるとともに、その内容分析を医学研究の材料という観点からまとめた。得られた成果は、「収奪された人体―満洲における医学と戦争」と、〝Bodies in the Service of the Japanese Empire: Colonial Medicine in Manchuria″である。また、付随的な成果として『外地「いのち」の資料集(五)ー中国占領地 同仁会』第1巻、第2巻も上梓した。 拙著「収奪された人体―満洲における医学と戦争」は、吉中丈志『七三一部隊と大学』(京都大学学術出版会、2022年4月)に収録された論文である。七三一部隊の解明を目指した論文集ではあるものの、七三一部隊の人員を多く送り込んだ京都帝国大学医学部に関する関連する論文も多く収録されている。京都帝国大学戸田衛生学教室に関連する記載や資料もあり、大学が行った戦争協力という視点から学ぶことが多かった。 「生活科学」の内実についても、具体的に事例を取集するとともに、「生活科学」とは戦時において何を目指したのかを明らかにする必要性があるので、その点も突き詰める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文2本、及び資料翻刻を2冊上梓することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、国内でも資料調査を進めていきたい。京都大学の文書館や戸田正三が学部長を務めた金沢大学資料館にも調査を行う予定である。 また収集した資料の分析を行うとともに、生活科学の特徴の解明および植民政策および軍事との関係の解明を行ってゆく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid19により調査のための出張ができず、旅費の支出ができなかった。今年は可能な限り調査を実施したい。
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