研究課題/領域番号 |
20K00273
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
田口 直樹 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60303252)
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研究分担者 |
木下 和紗 高松大学, 経営学部, 講師 (20825559)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 技能 / 中小製造業 / 人材育成 / I o T |
研究実績の概要 |
本年度は、特に中小企業の技能形成に着目して研究を行った。第1に、「DX時代における中小製造業の課題」という視点からデジタルトランスフォーメーションの必要性とその十分条件としての技能形成・技能継承について検討を行った。中小製造業の課題として生産性の低さが根本的にあることに注目し、その改革において現在必要とされているのが業務改善を推進するためのDXであることを明らかにした。その際、中業製造業において特に問題となるのがIT人材の不足で有り、IT人材の供給支援が決定的に重要であることを明らかにした。そして第2に、重要な視点として中業企業の競争力を規定する大きな要素である技能のデジタル化の課題についても以下の点を明らかにした。すなわち、個別企業に蓄積・形成されてきた技能は従来、労働者に蓄積された属人的なものとしてとらえるのが通例であるが、その労働者が使用する設備機械も含めて考える視点が必要であることを明らかにした。すなわち、中小企業間の水平統合という視点から情報共有できる体制が中小企業の生産性向上には必要であり、設備情報の共有は同時に技能情報の共有に他ならず、こうした観点からもアプローチすることにより中小製造業に対する需要量の最適配分が可能になることを明らかにした。 第3「地域社会に貢献する中小企業と企業家」「地域社会への貢献にみる中小企業家のアイデンティティ・ワーク」という視点から立地する地域にへの土着性・粘着性の高い中小企業の経営者の役割に着目し、個別企業にとどまらず地域社会への貢献としう視点から中小企業人材の再生産に重要な役割を果たしているかを明らかにした。とりわけ、経営者のリーダーシップが地域としての人材育成に重要な役割を果たしており、ひいてはそのことことが個別企業の技能人材の育成の必要条件となっていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で十分なヒアリング調査が行えているとは言えず、文献資料を中心とした研究になっていることが否めない。また、本研究は国際比較研究も視野に入れているが、これもコロナ禍の影響で出張許可・受け入れ許可が出ず、行うことが出来ていない。上記の理由から頭書の研究目的に鑑みてやや遅れているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの状況を見極め収束すれば、国内外の企業調査を行う。それが叶わない場合は、ZOOM等の遠隔手段を使用してヒアリング調査を推進できるような手立てを考えていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍でヒアリング調査が制約され調査旅費において計画通り執行できなかった。次年度はコロナ禍の収束が期待出来そうなので積み残した調査を行う予定であり、それに充当する。
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