研究実績の概要 |
2022年度の前半には、Phylogenetic Distribution and Trajectories of Visual Consciousness: Examining Feinberg and Mallatt’s Neurobiological Naturalism (「視覚意識の系統的な分布と軌跡:ファインバーグとマラットの神経生物学的自然主義を検討する」)と題する論文をJournal for General Philosophy of Science (volume 53, pp. 459-476, 2022)において発表した。また、Annals of the Japan Association for Philosophy of Science (Vol. 31, September 2022)においてThe Evolutionary Roots of Consciousness--New Biological Perspectives for Philosophy of Mind--(「意識の進化的起源:心の哲学に対する新しい生物学的視点」)と題する特集を組み、研究代表者・研究分担者も寄稿した。 以上の研究を通じて意識の生物学的説明を追求し、そのために必要な概念分析や方法論的検討をおこなった。特筆すべき成果としては、相同性概念等の分析を通じて神経生物学的自然主義を擁護する可能性を明らかにしたこと、および意識に対する進化論的アプローチの比較を通じて、意識を生存価と直接的に結びつけるのではなく、行為者性を媒介させることの重要性を指摘したことが挙げられる。 2022年度の後半には、以上の研究成果を生物学の哲学の観点から掘り下げて総括した著書を執筆した。本書は2023年に出版される予定である。
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