研究課題/領域番号 |
20K00277
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
寿楽 浩太 東京電機大学, 工学部, 教授 (50513024)
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研究分担者 |
菅原 慎悦 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (70638006)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 予測 / リスク / 科学技術 / シミュレーション / 社会学 |
研究実績の概要 |
本研究は開始早々、折からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を大きく受けた。研究代表者と研究分担者はいずれも、過年度に実施していた科研費の研究課題に取り組んでいたが、それらにも遅延が生じ、研究期間の延長がなされた。本研究はそれら研究の成果を踏まえ、一層発展させる目論見で計画されたが、この連携に重大な支障が生じることとなった。 また、両名とも所属校での教務が遠隔授業への対応等で急激に増大し、エフォート配分の大きな見直しを否応なく迫られた。加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により対面会合や国内外への出張が大きく制限された。質的調査のための聞き取り調査等はテレビ会議システム等での代替では調査の質に大きな影響がある上、しばしば関係者の利害の機微に関わる本研究のテーマに鑑みると、対象者とのやりとりで行き違いが生じれば重大な研究倫理上の問題が生じる懸念もあった。 このため、遺憾ながら今年度は文献調査に徹し、次年度以降、事態が収束すれば一挙に研究の展開を図れるよう、準備を進めることとした。 なお、本研究の問題意識については、国際科学技術社会論学会(4S)年次大会での口頭発表において過年度の研究課題の成果と併せて紹介を行った。 他方で、新型コロナウイルス感染症に係る状況は、まさに本研究のテーマである「リスクと社会の相互作用における「予測」の逆機能」の見本例とも言える。感染者数に関する予測などが社会的・政治的に重大な意味を持つ状況が続き、社会が右顧左眄させられてきたからだ。これについてはハーバード大学が中心となっている緊急国際共同研究に研究代表者が参加することとなった。また、研究分担者はこの問題についての初期的な分析を一般向け新書の分担執筆で発信した。次年度以降はこうした足がかりを効果的に活かした研究展開を図りたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」にも記した通り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を大きく受け、かなりの遅延が生じた。本研究の前提となるべき過年度の研究課題の遅延、遠隔授業等への対応に伴う教育エフォートの増大による研究エフォートの圧迫、出張や対面会合の制限による聞き取り調査等の実施困難などが本研究の遂行に重大な影響を与えた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、研究計画にも記載していた連携先研究者を交えた研究会をオンライン形式で開催し、本年度に実施した文献調査の成果や前身の科研費研究課題の成果に対するフィードバックを受けつつ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大収束後の研究を加速させる準備を進める。ワクチン接種が進展する等して出張や対面会合に係る制約が緩和した際に聞き取り調査等を効率的に進められるよう、仮説の構築や対象者の選定を加速させる。 また、「研究成果の概要」欄にも記載した、新型コロナウイルス感染症に関する緊急国際共同研究での取り組みと、資料収集、分析枠組み、他国状況についての情報収集などに関する学術的相乗効果を発揮できるよう配慮する所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」「現在までの進捗状況」欄にも記載したとおり、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を大きく受け、本研究は当初予定した旅費支出を伴う質的調査等を実施できなかった。このため、大きな次年度使用額が生じた。繰り越し分については、次年度以降、新型コロナウイルス感染症に係る状況が改善し、質的調査等を実施できる段階になったタイミングで効率的な研究実施を図り、計画的に支出することとしたい。
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