研究課題/領域番号 |
20K00296
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
米村 みゆき 専修大学, 文学部, 教授 (80351758)
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研究分担者 |
奥田 浩司 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90185538)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 宮沢賢治 / 高畑勲 / ポストヒューマン / 鹿踊りのはじまり / なめとこ山の熊 |
研究実績の概要 |
「高畑勲が『なめとこ山の熊』を映像化していたら―アニミズムの新しい視点から―」(『アニメーション研究』第21巻第1号、2020年9月30日発行、日本アニメーション学会)と題して、論文を発表した。 当該論文では、アジア太平洋戦争時期に宮沢賢治の童話を受容し、その深い影響のもとで作品を制作してきたアニメーション映画監督高畑勲の発言を再考しながら、宮沢賢治の童話作品の背後にみえる共通性を探ったものである。宮沢賢治の童話のうち、『雪渡り』『鹿踊りのはじまり』『なめとこ山の熊』を取り上げ、分析した。高畑勲は、アジア太平洋戦争中の国民学校の三年生の頃に宮沢賢治の童話と出会ったと回想している。高畑が言及している作品名から、高畑が当時手にした書物は、羽田書店編の『風の又三郎』と同定された。一九三九年に刊行されている。 宮沢賢治の童話は、従来、郷土色豊かな土着的な童話として捉えられてきたが、高畑勲の受容からその童話群を逆照射してみるとき、人間と「非人間」(動物、ポストヒューマン)の分節化に関する要素がみえた。同時に、それらには「テクノロジーの眼」が摘出された。この要素は、宮沢賢治の童話が、特定の地域や時代に限定されず、広く伝搬してゆく要素の一つとなった可能性を再考するものとなった。さらに、法の「例外状態」に置かれる「戦争」という時期の検討、いわばアジア太平洋戦争期における文脈との関連性を考える示唆ともなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの関係で、東アジアの諸地域に赴き調査、インタビューをすることができなかった。そのため、研究が滞る事態となった。代替として、国内の宮沢賢治研究者に先行研究について専門的知識を得た。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの状況が不透明であるため、今後の研究の方向性を変更することも視野に含めながら、状況によっては、国内で入手できる資料の分析と考察を中心に行ってゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスによって海外での調査研究が行うことができなかった。また研究分担者との打ち合わせにも支障をきたした。
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