研究課題/領域番号 |
20K00301
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
葉名尻 竜一 立正大学, 文学部, 教授 (00713075)
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研究分担者 |
堀江 秀史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10827504)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 寺山修司 / 文学館の利活用 / 寺山修司記念館 / 寺山修司資料館 |
研究実績の概要 |
寺山修司に関する第一次資料の調査については、次の2回を実施することができた。 2020年10月23~24日にかけては、三沢市の寺山修司記念館へ、研究代表者の葉名尻竜一、研究分担者の堀江秀史、研究協力者の久慈きみ代が調査にあたった。学芸員の広瀬有紀氏のご協力のもと「寺山修司記念館収蔵リスト(抄)」における分類コード「No.2 ノート・日記類」の「No.10 1956、60年 2Years Beisiness DIARY(常設展示)」全150頁を画像資料としてpdf化することができた。また、公開されている収蔵リスト(抄)には詳細が記されていない分類コード「No.1 生原稿」「No.2 ノート・日記類」「No.3 書簡A(寺山修司より)」「No.4 書簡B(寺山修司へ)」「No.5 写真アルバム類」「No.6 寺山修司撮影写真作品(シルク印刷作品を含む)」「No.7 愛蔵品A(著作者のあるイラスト・人形等)」「No.8 愛蔵品B(ミシン~野球帽、バット等)」「No.9 台本A ラジオ作品」「No.10 台本B テレビ作品」「No.11 台本C 映画作品」「No.12 台本D 演劇作品」「No.13 台本E 翻訳・合唱曲作品」「No.14 台本F 出演番組・天井棧敷公演で著者の違うもの」「No.15 オープンテープ録音テープ(放送局制作以外も)」「No.16 カセットテープ録音テープ」「No.17 ビデオテープ」「No.18 著作図書」と、分類コード「No.35 スクラップNo.4(13種428点)」の詳細目録をpdf化した。 2021年3月18~20日にかけては、札幌市の寺山修司資料館へ、葉名尻竜一、久慈きみ代が調査にあたった。代表の山形健次郎氏(「牧羊神」同人)の許可のもと、公開資料の撮影と未公開資料の閲覧をした。データは今後の検証に備えて、チームで共有できる状態で保存している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍のために、三沢市の寺山修司記念館への資料調査の回数を、予定していたよりも減らさざるを得なくなった。また、研究メンバーの居住が東京と静岡と青森にまたがるため、国会図書館での調査も計画に入れた東京での対面会合を予定していたが、同じ理由で中止することになった。会合はオンラインで対応できるようにしたものの、まだ不慣れなために対面会合と同程度の成果には至っていない。しかし、調査にあたったメンバーの資料を、チーム内で共有できるような整備を進めているため、各メンバーの個別研究においての支障は最小限に抑えられている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年3月18日~20日にかけて札幌市の寺山修司資料館へ調査に出かけた折に、代表の山形健次郎氏から、寺山修司とともに活動した俳句グループ「牧羊神」についてのお話を伺う機会に恵まれた。お話を伺うなかで、従来の研究では、俳句グループ「牧羊神」活動の全体像が描き切れていないことが明らかになったため、山形健次郎氏に改めてインタビューを行い、当事者の証言として記録に残すべきであるとの判断に至った。寺山修司資料館には、発刊された「牧羊神」のすべてが収蔵されているだけでなく、同人同士で交わされた当時の貴重な書簡も残されている。未公開資料も含むこれらの第一次資料の一部を活字化し、その上で山形健次郎氏の証言を検証していくことができれば、従来の研究を大きく更新する成果が得られるだろう。この企画は当初の計画には含まれていなかったが、研究を進めていくなかで新たに立ち上がったことであり、研究しなければ得られなかった機会である。 また、新型コロナ禍がなければ、2021年の秋に、国際寺山修司学会をアメリカで開催する予定だったが、感染状況を鑑みて中止せざるを得なくなった。現在、研究期間の延長の申請と同時に、最終年の2023年に、アメリカで国際寺山修司学会が開催できるように準備を進めていいる。学会会長の清水義和氏をはじめ、受け入れ先の担当教授との調整は進展中である。2023年にアメリカで国際寺山修司学会が開催できれば、三沢市の寺山修司記念館と札幌市の寺山修司資料館の第一次資料に基づく最新の研究成果を、海外の寺山修司研究者に向けても発信できることになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍のために、三沢市の寺山修司記念館への資料調査の回数を減らさざるを得なかった。その調査旅費が今回の次年度使用額の内訳である。また、同じ理由で、2021年にアメリカの州立ウィスコンシン大学マディソン校で開催予定していた国際寺山修司学会を中止した。国際寺山修司学会は、2023年に開催できるように改めて準備を進めているが、2021年度の予算の内訳も、その多くは研究メンバーの渡航費と開催の準備費用にあてられていたため、それらの諸費用を含めて、2023年度に変更した学会開催の準備と渡航費に計上し直す予定である。 2021年度は、札幌市の寺山修司資料館代表の山形健次郎氏のインタヴューを新たに企画した。寺山修司資料館への旅費をはじめ、インタヴューの録音、文字起こし、編集、印刷、謝礼などを含む経費にもあてる計画である。
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