研究課題/領域番号 |
20K00310
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金沢 英之 北海道大学, 文学研究院, 教授 (00302828)
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研究分担者 |
三上 喜孝 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (10331290)
福田 武史 武蔵大学, 人文学部, 准教授 (20752075)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本書紀 / 注釈 / 上代文学 / 古代史 |
研究実績の概要 |
本研究は、古代国家の起源と歴史を語る『日本書紀』について、現在の標準的な注釈書である日本古典文学大系本(岩波書店)の刊行から五十年以上 、最新の新編日本古典文学全集本(小学館)の刊行からも二十年以上が経過した状況を踏まえ、過去の研究の不足を補い最新の知見を反映した新たな注釈の完成を目指すものである。このため、文学・歴史学・訓詁学を専門とする研究者の協働により、綜合的な立場から『日本書紀』全体の作品論的理解を追求すると同時に、細部にわたって一貫した読みに基づく注釈を作成し、最終的にその成果を整定本文および訳読を付した注釈書として刊行することを目的としている。 以上の目的のため、『日本書紀』底本の翻刻、注釈の作成、現代語訳の作成を行い、平行して版組・校正等の作業を進めた。最終的に全3巻に分けて注釈書を刊行するうち、計画期間1年度目の2020年度には、上巻の刊行を最終的な目標とした。コロナ禍により、予定していた現地調査や、メンバー間や出版社との打ち合わせ等の機会は大幅に縮小せざるを得なかったが、メール等によりやりとりによって方針を確認しつつ作業を進め、年度末の3月に予定通り上巻を刊行することができた。上述の通り、これは古代文学研究、歴史研究等複数の分野に対して研究の根本的な基礎となる文献を提供するという意味で、大きな成果である。 また、上巻の出版と平行して、中巻の刊行のための注釈および現代語訳の作成を進めた。これも次年度以降の研究の準備となる作業である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画期間1年目には、『日本書紀』注釈の上巻を刊行することを当初の目標としていた。 コロナ禍により現地調査や打ち合わせの困難という作業上の問題に直面しながらも、目的の上巻を刊行することができた。よって、おおむね順調な進展ということができる。
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今後の研究の推進方策 |
計画期間2年度目には、注釈書の中巻を刊行することを当初の目的としていたが、実際に上巻を刊行してみての作業量の増加や、コロナ禍による調査や打ち合わせ機会の減少等により、2年度目は準備作業に費やし3年度目の刊行とせざるを得ない。 このため、中巻の刊行を3年度目の目標とし、残りの期間を最終刊である下巻の刊行準備に費やす。 また、中巻・下巻は内容的に朝鮮関係記事が多数を占めるため、1年度目および2年度目に韓国研究者との打ち合わせおよび現地調査を行う計画であったが、現在コロナ対策により韓国への実地調査が実質的に不可能な状況にあり、この状況は2年度目以降も当分続くものと思われる。このため、申請していた旅費が大きく未消化のまま残る状況が出来している。 3年度目までこのような状況が続くようであれば、残りの予算を繰り越して研究期間を延長し、下巻の刊行にまで漕ぎつけることも対策として考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の予算執行計画の大きな部分を、韓国を含む実地調査や研究協力者への謝金、また国内での打ち合わせ旅費等が占めていたが、コロナ禍により出張が禁止、あるいは韓国への入国が制限されるなど、予定していた調査・打ち合わせを見送らざるを得なかったことにより、かなりの額の次年度使用額が発生した。 このため、次年度の予算を当初の計画より削減し、繰り越し分を注釈作成のために必要な資料類等の備品、また調査が可能となった場合の旅費等に充当する予定である。
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