研究課題
基盤研究(C)
仮名本『曽我物語』後期本文の最終型としての流布本の本文策定ならびに注釈作業を行った。流布本に基づいて物語年表ならびに諸本記事対照表、物語関係地図を作成して付録とした。また、底本に載る挿絵のすべてを掲載し、その挿絵の解釈や本文との関係性を明示した。また、『曽我物語』を流布本で読み直すことの意味を解説としてまとめた。以上の成果を盛り込み、『曽我物語 流布本』として武蔵野書院より刊行した。
日本中世軍記文学
仮名本『曽我物語』の後期本文の最終型とも言える流布本の注釈付き本文提供は、1966年の日本古典文学大系(岩波書店)所収本以来であり、研究成果としての今回の本文の提供は、その間50年余の間の研究の進捗を盛り込んだものとなった。また、昨今重視される挿絵についても、その研究素材を提供し得たものと考えている。こうして各系統のテクストが公刊されることで、『曽我物語』研究の一層の進展が期待される。