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2023 年度 実施状況報告書

上代特殊仮名遣いを区別した『万葉集』の複数テキスト構築とその統計学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00329
研究機関関西大学

研究代表者

村田 右富実  関西大学, 文学部, 教授 (30244619)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード上代文学 / 万葉集 / 統計学 / 上代特殊仮名遣い
研究実績の概要

本研究の大きな特徴は、これまでの『万葉集』の訳文を単にテキストファイルにするだけではなく、上代特殊仮名遣いの甲乙を区別したテキストファイルとして、より奈良時代の状況に近いデータにした上で、統計的な解析に使用できるようにする点にある。ただし、その過程において、単に訳文にとどまらず、題詞左注をも含み込んだ『万葉集』全体をテキストファイルとして、注釈書間の比較を可能にすることを考えている。以下、現時点でのその進捗状況について記す。
まず、井手至氏・毛利正守氏『新校注万葉集』(和泉書院二〇〇八年―以下『新校注』)の甲乙を区別したテキストファイル化は完了している。ただし、題詞左注を含めた全面的なテキストファイル化は今後の課題である。次に木下正俊氏校訂『万葉集 CD-ROM版』(塙書房二〇〇一年―以下『塙本』)に基づいたテキストファイルに対して、甲乙を区別したファイルを作成した。さらに、同様に甲乙を区別したテキストファイルを作成するために、稲岡耕二氏著『和歌文学大系 万葉集 (一)~(四)』(明治書院一九九七~二〇一五年―以下『和歌大系』)のテキストファイル化に取り組んだ。こちらは題詞左注を含めてテキストファイル化にしており、今後、応用段階に入ることが可能である。
『新校注』については、歌の解析には使用可能であり、題詞左注の入力は今年度の課題である。『塙本』は校正を経ることによって、統計的な解析に耐えられるファイルになる予定である。『和歌大系』については、このテキストファイルに校正を加えた上で、甲乙を区別して、もう一度校正を掛ければ、こちらも統計的な解析に耐えられるファイルになる予定である。
新型コロナウイルス感染症が第五類となった結果、研究を進められるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の第五類への移行に伴って徐々に研究を進められるようになったものの、まだ完全に元通りになってはいない。
テキストファイル化も、甲乙の区別も、複数の人間によって、時間的に集中的な環境が必要となり、かつ、どうしても密室での作業となってしまう。そのため、思うように学生を使うことができず、個人で作業することになってしまった。さらに2023年度は研究代表者自身も罹患し、研究の停滞を招くことになってしまった。

今後の研究の推進方策

二〇二四年度は、新型コロナウイルス感染症とは無関係に校正や甲乙区別の作業が可能であろう。幸い、この間、『万葉集』を専攻する院生の数も増え、夏休みに集中して研究を進められると考えている。

次年度使用額が生じた理由

五類に移行されたとはいうものの、新型コロナウイルス感染症の流行がなかなか終息せず、思ったように研究を進められなかったため。
本年度は夏休みに院生のアルバイトを利用して、集中的に進める予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 高市皇子挽歌二題―異伝と壬申の乱の表現―2023

    • 著者名/発表者名
      村田右富実
    • 雑誌名

      『戦争と文学の交渉 古代から近現代へ』(関西大学)

      巻: なし ページ: 〓

  • [雑誌論文] 天平十三年の書持と家持との贈答について(三)―その表現について―2023

    • 著者名/発表者名
      村田右富実
    • 雑誌名

      関西大学『東西学術研究所紀要』

      巻: 56 ページ: 37-51

    • DOI

      10.32286/0002000106

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『校本万葉集』において校合の対象となっていない断簡類2023

    • 著者名/発表者名
      村田右富実
    • 雑誌名

      万葉

      巻: 236 ページ: 59-73

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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