明治・大正期における児童文学・児童文化史の研究―巖谷小波未発表資料の検討を通して

2023 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20K00335
• 研究機関: 一般財団法人大阪国際児童文学振興財団
• 研究代表者: 土居 安子 一般財団法人大阪国際児童文学振興財団, その他部局等, 総括専門員 (00416257)
• 研究分担者: 浅岡 靖央 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (60788941) ; 遠藤 純 武庫川女子大学, 教育学部, 准教授 (10416258) ; 大貫 俊彦 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (70738426) ; 柿本 真代 京都華頂大学, 現代家政学部現代家政学科, 准教授 (40759081) ; 酒井 晶代 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 教授 (10279953) ; 中川 理恵子 豊岡短期大学, その他部局等, 講師 (00286890) ; 宮川 健郎 一般財団法人大阪国際児童文学振興財団, その他部局等, 特別専門員 (80166123) ; 目黒 強 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70346229)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 児童文学 / 児童文化 / 巖谷小波 / 絵葉書

研究実績の概要

本研究 は、日本の文学・文化・教育において、多大な影響力を持った巖谷小波（1870～1933、以下、小波とする）を核として、小波の1,000枚を超える未発表の葉書等の資料を検討しながら、明治・大正期の児童文学・児童文化史を研究するものである。
最終年度である本年度は、資料の整理・調査を行うと同時に、3回の研究会で各研究者がそれぞれの視点で研究発表を行った。その成果を元に、日本児童文学学会第62回研究大会において、ラウンドテーブルを実施し、それを論文にまとめた。その内容は、小波の口演童話活動、絵葉書文化と小波の関係、海外での小波の足跡、小波の家族観や子ども観、小波の幅広いネットワークの状況など、幅広い領域にわたる。そして成果は『大阪国際児童文学振興財団 研究紀要』37号（2024年3月）に研究活動報告「明治・大正期における児童文学・児童文化史の研究―巖谷小波未発表資料の検討を通して」とともに掲載した。
4年間を通して、これまでほぼ未発表であった巖谷小波の絵葉書等1116通 について、すべて画像を撮影し、それを小波が差出人である絵葉書、小波が受取人である絵葉書、それ以外、未使用で分類し、内容をデータ化し、翻刻を行った。これによって、資料の全体像が明らかになった。そこには、1890年代から戦後に至るまで、長期に亘って交わされた私信には、小波を中心とする広汎な人のつながりは言うまでもなく、児童文学や児童文化をはじめとして、一般文学や演劇、出版、編集、美術、建築、民俗および教育、政治経済、法律、軍事など、実に500名を超えるあらゆる分野の関係者とのやりとりが見てとれた。そして、それらの絵葉書について、多様な研究の可能性を明らかにすることができた。

研究成果

• [雑誌論文] 高尾亮雄（楓蔭）の研究 ―巖谷小波との接点を中心に― (2024)
  • 著者名/発表者名: 遠藤純
  • 雑誌名: 大阪国際児童文学振興財団研究紀要 巻: 37 ページ: 11-23
• [雑誌論文] 明治期における巖谷小波のお伽口演活動―巖谷家所蔵絵葉書および関連資料からの検証― (2024)
  • 著者名/発表者名: 遠藤純
  • 雑誌名: 大阪国際児童文学振興財団研究紀要 巻: 37 ページ: 55-69
• [雑誌論文] 巖谷小波絵はがきコレクションにみる絵はがき文化と交友圏―「すみや書店」鹿塩秋菊に注目して― (2024)
  • 著者名/発表者名: 大貫俊彦
  • 雑誌名: 大阪国際児童文学振興財団研究紀要 巻: 37 ページ: 53-65
• [雑誌論文] 博文館「少年文学」叢書のひろがり―明治・大正期にわたる受容の過程に注目して－ (2024)
  • 著者名/発表者名: 柿本真代
  • 雑誌名: 児童文学研究 巻: 56 ページ: 53-69
  • 査読あり
• [雑誌論文] アメリカからの小波絵葉書 (2024)
  • 著者名/発表者名: 柿本真代
  • 雑誌名: 大阪国際児童文学振興財団研究紀要 巻: 37 ページ: 41-54
• [雑誌論文] 巖谷小波の花巻巡講―花城尋常高等小学校(大正四年九月一五日)の絵葉書を出発点として― (2024)
  • 著者名/発表者名: 酒井晶代
  • 雑誌名: 大阪国際児童文学振興財団研究紀要 巻: 37 ページ: 35-52
• [雑誌論文] 巖谷家所蔵 巖谷小波関連絵はがき等の概要について－小波宛て絵はがきの差出人― (2024)
  • 著者名/発表者名: 土居安子
  • 雑誌名: 大阪国際児童文学振興財団研究紀要 巻: 37 ページ: 19-28
• [雑誌論文] 巖谷小波 欧州から家族に宛てた８９通の絵葉書（1900ー1902）―家長・夫・父親としての小波― (2024)
  • 著者名/発表者名: 中川理恵子
  • 雑誌名: 大阪国際児童文学振興財団研究紀要 巻: 37 ページ: 29-39
• [雑誌論文] 巖谷小波日記 翻刻と註釈 ；明治三十九年（一月～四月） (2024)
  • 著者名/発表者名: 小波日記研究会（猪狩友一、木村八重子、竹田修、中川理恵子）
  • 雑誌名: 白百合女子大学児童文化研究センター研究論文集 巻: 27 ページ: 1-19
• [雑誌論文] 研究プロジェクト活動報告：明治・大正期における児童文学・児童文化史の研究―巖谷小波未発表資料の検討を通して (2024)
  • 著者名/発表者名: 土居安子
  • 雑誌名: 大阪国際児童文学振興財団研究紀要 巻: 37 ページ: 11-18
• [雑誌論文] 寓意としての「涙」―漣山人『妹背貝』論 (2023)
  • 著者名/発表者名: 大貫俊彦
  • 雑誌名: 文学・語学 巻: 239 ページ: 23-34
  • 査読あり
• [学会発表] アメリカからの小波絵葉書（ラウンドテーブル：巖谷小波の絵葉書から見えてくるもの：旅と家族と幅広いネットワーク状況をたどる） (2023)
  • 著者名/発表者名: 柿本真代
  • 学会等名: 日本児童文学学会第62回研究大会
• [学会発表] 巖谷小波のお伽口演活動の実態について―絵葉書および関連資料から―（ラウンドテーブル：巖谷小波の絵葉書から見えてくるもの：旅と家族と幅広いネットワーク状況をたどる） (2023)
  • 著者名/発表者名: 遠藤純
  • 学会等名: 日本児童文学学会第62回研究大会
• [学会発表] 巖谷小波の花巻巡講―花城尋常高等小学校（1915.9.15）の絵葉書を出発点として―（ラウンドテーブル：巖谷小波の絵葉書から見えてくるもの：旅と家族と幅広いネットワーク状況をたどる） (2023)
  • 著者名/発表者名: 酒井晶代
  • 学会等名: 日本児童文学学会第62回研究大会
• [学会発表] 巖谷家所蔵「巖谷小波絵はがきコレクション」にみる人間関係のネットワーク―「すみや書店」鹿塩秋菊を一連として―（ラウンドテーブル：巖谷小波の絵葉書から見えてくるもの：旅と家族と幅広いネットワーク状況をたどる） (2023)
  • 著者名/発表者名: 大貫俊彦
  • 学会等名: 日本児童文学学会第62回研究大会
• [学会発表] 巖谷小波 欧州から家族に宛てた89通の絵葉書（1900～1902）―夫・父親としての小波―（ラウンドテーブル：巖谷小波の絵葉書から見えてくるもの：旅と家族と幅広いネットワーク状況をたどる） (2023)
  • 著者名/発表者名: 中川理恵子
  • 学会等名: 日本児童文学学会第62回研究大会