研究課題
2022年度も定例研究会や各種の打ち合わせにおいては参会することがかなわず、web会議システムを用いての開催となった。しかし、下に記す共同調査と国際シンポジウムについては、実地・対面での実施が可能となった。定例研究会としては、陣野英則「平安後期物語文学の廃墟的な場──『浜松中納言物語』と『堤中納言物語』の場合──」(2022年6月24日)を行った。また、研究成果の社会への還元を企図し、神奈川県立金沢文庫において特別展「廃墟とイメージ─憧憬、復興、文化生成の場としての廃墟─」(2023年9月29日~11月26日)を開催することを決定、現地での資料調査を実施した(2022年9月7日)。さらに、最終年度に当たり、本研究の総括としての国際シンポジウム「古代・中世日本における廃墟の文化史」(2023年3月18日、於:早稲田大学)を開催した。本研究構成員の発表は、陣野「『うつほ物語』と『源氏物語』における廃墟的な場」、渡邉「廃墟と詠歌」、木下「歌枕と廃墟」、堀川「五山文学における廃墟の表象」、山本「経説と廃墟」、梅沢恵「『一遍聖絵』に描かれた荒廃する社」、山中玲子「能〈融〉が描く場」である(副題省略)。加えて、マリア・サルバドール(ハーバード大学博士後期課程)の発表「From Ruins to Salvation Death and Hell in the Kasuga Faith」、及び、ハルオ・シラネ(コロンビア大学)と佐藤直樹(東京藝術大学)をコメンテーターに招いてのディスカッションを行い、国際的・学際的な廃墟研究の可能性を共有した。過去2年の「廃墟」の表象研究を踏まえ、文化の再生・胚胎を可能とする「廃墟」の文化的・歴史的機能が明らかになった。対象としての「廃墟」を、学術研究の枠組みとして定位・共有できる段階に発展させたことは、本年度の大きな前進と成果であったと考えている。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 8件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
能楽研究
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早稲田大学大学院文学研究科紀要
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