最盛期読本の総合的研究

2023 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20K00344
• 研究機関: 尾道市立大学
• 研究代表者: 藤沢 毅 尾道市立大学, その他部局等, 教授 (20289268)
• 研究分担者: 田中 則雄 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (00252891) ; 中尾 和昇 奈良大学, 文学部, 准教授 (00743741) ; 菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10548720) ; 藤川 玲満 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (20509674) ; 菊池 庸介 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30515838) ; 大屋 多詠子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50451779) ; 天野 聡一 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (50596418) ; 木越 俊介 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (80360056) ; 三宅 宏幸 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (90636086)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 読本 / 文化期 / 最盛期 / 読本解題 / 実録 / 演劇 / 書誌

研究実績の概要

2023年9月23日（土）24日（日）、青山学院大学において第１回研究会を開催。作品解題の発表とともに、報告書の作成に向けて、各自担当の総説部分の発表と質疑応答を行った。2029年2月に完成した報告書『最盛期読本の総合的研究』は、第一部「最盛期（文化五～八年刊）読本総説」として11本の総説論文、第二部「最盛期（文化五～八年刊）読本解題」として計81点の読本作品解題を収録した。さらに読本書名索引と読本年表を付し、135頁（本章127頁。目次等3頁、年表と索引5頁）のものとなった。2024年3月30日（土）31日（日）、島根大学において第２回研究会を開催。完成した報告書をもとに、研究成果の確認を行い、また見出された課題をもとに今後の研究方針を検討した。
文化５年（1808）は読本刊行部数が59点と最多の年であり、翌文化６年刊行の31点と合わせ、計90点。この両年をもって読本の最盛期と呼ぶことに異論はないかと思われる。この両年刊行の読本を対象に調査研究をすることから出発した本研究は、結果として調査対象を文化７年、同８年までも拡げることができた。本研究の特徴として、著名な作品に限ることのない、網羅的な調査研究ということがある。著名な作品を見直しながら、これまで知られていなかった作品に対しても、その内容（素材、構成、記述を含む）、書式、刊行や後印後修の様相などを考察し、解題を作成した。これまでの著名な作者・作品の研究に偏った志向を是正することに繋がり、今後の読本の研究の深化を促すことになるであろう。解題を踏まえた、メンバーの専門領域からの考察は第一部の読本総説で述べられ、こちらも読本研究の大きな成果をあげることができた。

研究成果

• [雑誌論文] 『滑稽臍磨毛』について (2024)
  • 著者名/発表者名: 藤沢毅
  • 雑誌名: 鯉城往来 巻: 26 ページ: 1-18
• [雑誌論文] 『道成寺鐘魔記』論（後編）―鎌子について― (2024)
  • 著者名/発表者名: 藤沢毅
  • 雑誌名: 読本研究新集 巻: 15 ページ: 121-133
  • 査読あり
• [雑誌論文] 読本最盛期における読本・合巻の表現様式について―橋本徳瓶・振鷺亭の作に即して― (2024)
  • 著者名/発表者名: 田中則雄
  • 雑誌名: 読本研究新集 巻: 15 ページ: 103-120
  • 査読あり
• [雑誌論文] 東随舎の写本随筆と『野翁物語』―附、馬琴戯作との類似― (2024)
  • 著者名/発表者名: 三宅宏幸
  • 雑誌名: 読本研究新集 巻: 15 ページ: 65-81
  • 査読あり
• [雑誌論文] 『安達原秋二色樹』翻刻（下） (2023)
  • 著者名/発表者名: 中尾和昇
  • 雑誌名: 奈良大学紀要 巻: 52 ページ: 176-157
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 『播州皿屋鋪』と短編合巻 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中尾和昇
  • 雑誌名: 奈良大学大学院研究年報 巻: 29 ページ: 134-116
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 速水春暁斎画作「実録種」絵本読本の種本利用態度：敵討ちを題材とする作品を例に (2023)
  • 著者名/発表者名: 菊池庸介
  • 雑誌名: 国語と国文学 巻: 100-11 ページ: 47-61
  • 査読あり
• [雑誌論文] 読本序文における羅貫中・紫式部応報譚 (2023)
  • 著者名/発表者名: 天野聡一
  • 雑誌名: 国語と国文学 巻: 100-11 ページ: 17-32
• [雑誌論文] 『雨月物語』序文小考 (小特集 : 近世文芸の作者の〝姿勢(ポーズ)〟 : 序文を手掛かりとして) (2023)
  • 著者名/発表者名: 天野 聡一
  • 雑誌名: 國文論叢別冊 巻: 1 ページ: 3～9
  • DOI: 10.24546/0100483221
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 写本小説・松井羅洲作『墨画雪』について (2023)
  • 著者名/発表者名: 木越俊介
  • 雑誌名: 国語と国文学 巻: 100-11 ページ: 105-120
  • 査読あり
• [雑誌論文] 楽亭西馬作『岸柳四魔談』と馬琴草双紙 (2023)
  • 著者名/発表者名: 三宅宏幸
  • 雑誌名: 同志社国文学 巻: 99 ページ: 31-43
  • 査読あり
• [雑誌論文] 『俊寛僧都嶋物語』試論―引用・考証・附会― (2023)
  • 著者名/発表者名: 三宅宏幸
  • 雑誌名: 国語と国文学 巻: 100-11 ページ: 91-104
• [学会発表] 近世族文学に描かれたキリシタン (2024)
  • 著者名/発表者名: 菊池庸介
  • 学会等名: 「キリシタン・反キリシタン文学再考―征服の世紀からの物語―」（「近世「反キリシタン文学」の基礎的研究―「吉利支丹由来記」を起点に」主催）
• [学会発表] 読本『不知火草紙』考 (2023)
  • 著者名/発表者名: 藤沢毅
  • 学会等名: 尾道市立大学日本文学会大会（おのみち文学三昧）
• [図書] 最盛期読本の総合的研究 (2024)
  • 著者名/発表者名: 藤沢毅、天野聡一、大屋多詠子、菊池庸介、木越俊介、田中則雄、中尾和昇、菱岡憲司、藤川玲満、三宅宏幸
  • 総ページ数: 135
  • 出版者: 西日本近世小説研究会（非売品）
• [図書] 翻刻『杣物語仙家花』（附録・翻刻『敵討女夫似我蜂』） (2024)
  • 著者名/発表者名: 藤沢毅、吉田宰編集（共著。尾道市立大学近世文学原典講読ゼミ）
  • 総ページ数: 96
  • 出版者: 尾道市立大学（非売品）