本研究の目的は、江戸時代後期の会津俳人に宛てた全国の俳人からの来翰を解読することと、文化文政期に活動した喜多方の関本如髪が各地を旅して集成した発句帖を解読することにより、近世俳諧文化を実証的に解明することである。如髪集成来翰集と如髪集成発句帖は時代的に重複しているため、両者の年代を特定したり、具体的な活動内容や、両者の相関関係を解明することができる。 3年計画の初年にあたる令和2年度は、研究実施計画通りに如髪集成俳人発句帖を購入し、解読調査作業を行った。また、それと並行して大阪府立大学が所蔵する如髪宛の来翰集全四巻のうち、第一巻の解読を行い、常磐大学人間科学部紀要『人間科学』第38巻第2号(2021年3月発行)に論文「関本如髪集成来翰集(第一巻)」を発表した。続いて「関本如髪集成来翰集(第二巻)」については、常磐大学人間科学部紀要『人間科学』第39巻第1号(2021年9月発行)に掲載を予定しており、令和3年5月に原稿を提出する予定になっている。。さらに第3、4巻についても令和4年度の春と秋に研究紀要に発表する予定である。 如髪集成俳人発句帖については、書簡の解読を進めていく中で執筆年代特定が可能になってくるものも増えてくると予想される。書簡集と発句帖を繰り返し対照して調査することが今後必要になってくるであろう。また、令和4年度の俳文学会全国大会で発句帖に関する研究発表を計画しているが、昨年度の全国大会が中止となったため、発表の場を再検討する可能性がある。
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