| 研究課題/領域番号 |
20K00346
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| 研究機関 | 国士舘大学 |
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研究代表者 |
平 浩一 国士舘大学, 文学部, 教授 (00583543)
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| 研究分担者 |
斎藤 理生 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40431720)
松本 和也 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (50467198)
新井 由美 奈良工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (40756722)
後藤 隆基 立教大学, 江戸川乱歩記念大衆文化研究センター, 助教 (00770851)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 新聞小説 / 大衆 / 挿絵 / 演劇 / 京阪神文化 |
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| 研究実績の概要 |
「新聞小説の多角的研究─1920年代から40年代を中心に」と題した本研究では、新聞小説を時代・文化の集約点と捉え直し、前史から後代にも目配せをしながら、1920年代から40年代に社会的に重要な意義を担った新聞小説（作家）の影響力の形成過程を、多角的・複眼的な視座から明らかにすることを目的としている。
2年目に当たる2021年度は、研究計画に即して、主に下記3点について研究実績を積んだ。
(1)昨年度に引き続き、本研究の基底部を成す、作品・小説技法・挿絵画家といった新聞小説の特性、ならびに各紙の記事細目・読者層・文化的背景など新聞メディアの動向という、新聞小説にかかわる2つの側面に注目し、具体的な検討を行った。その成果は2021年度は5本の学術論文を中心にまとめあげ、広い公開を行った。
(2)2021年9月11日には、JSPS科研費・基盤研究(C)「1940年代の新聞における文芸欄の基礎的研究」(17K02450)、JSPS科研費・基盤研究(C)「新聞小説を視座とする大正末～昭和戦前期の文学環境に関する基礎的研究」(20K00288)との共催による研究会「新聞小説作家の諸相」を開催した。そこでは、直木三十五・藤沢桓夫・伊原青々園・大佛次郎・火野葦平に注目し、それぞれの研究成果を報告した上で、研究方法の課題点等について議論を交わし、本研究テーマの意義と位置、今後の方向性についての確認も行った。
(3)2022年3月14日には(2)と同様の形態で研究会「新聞小説の多角的考察」を共催し、伊原青々園・山本有三・大佛次郎・火野葦平の4作家、ならびに1940年代の文藝欄の新資料発見について、研究メンバーが既存の研究ならびに各自の成果を報告した。さらに共同討議を行い、あわせて、次年度の研究計画・調査計画についても検討・調整を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、各メンバーの専門性を生かす形で、多角的な観点から研究を進めている。昨年度に続き、いわゆるコロナ禍が新聞資料の調査に多少影響したものの、計画はほぼ円滑に進んでおり、2年目として、研究の基底部がさらに広く深く形成された。その成果については、2021年度、特に5本の学術論文を中心にまとめあげた。具体的には、以下のとおりである。
「新聞連載の小説技法―― 山本有三「風」の受容と特性――」では、新聞小説で独自に展開された技法を明らかにし、「風」が単行本化された際に高く評価されなかった理由を浮き彫りにした。「帰還兵言説のなかの火野葦平「美しき地図」」では、戦時下に連載された「美しき地図」が、帰還兵作家の創作-発信／帰還兵作家の読書-受容において、理想的な意味作用を実現していたことを明らかにした。「挿絵倶楽部と中島重太郎――石井鶴三旧蔵資料および書簡による考察――」では、新聞小説の挿絵を多く描いた石井鶴三が所属していた「挿絵倶楽部」の実体を明らかにした。また、「「朝日新聞」西部版学芸記事細目（一九四六年三月～一九四九年一二月） 」ならびに「《資料紹介》「藝術新聞」目録―自第六三三号至第六七四号（不揃） 」は、新聞小説研究欠くことのできない詳細な新聞記事資料調査を、細目・目録という形で広く公開した成果となる。
以上のように、新聞小説研究においては避けて通れない幅広い時代・対象に関する考察を、調査・分析の両面からアプローチするという形で、多角的な視座・手法を以て進めており、昨年度に続き、研究はおおむね順調に進展している。
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| 今後の研究の推進方策 |
1・2年目の研究成果によって形成された基底部を土台としながら、今後は計画通り、白井喬二・山本有三・獅子文六・火野葦平・藤沢桓夫の5作家の考察をさらに深めながら、「ジャンルと読者層」「メディアミックス」「社会と文化（戦争）」というテーマに即し、それぞれの研究の比較検討も試みていく。すでに、2022年3月の研究会において、現段階でのそれぞれの研究状況は報告済みである。各メンバーの専門領域が異なるという本研究体制の特性を最大限に生かす形で、5作家の分析を行いながら、その成果を比較検討してよりその分析を広く深く発展させ、徐々に1920-40年代の新聞小説という大きなテーマへと向かう段階へと入っていく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
前年度と同様に、当該年度に行う予定であった同時代資料の入手および複写が、COVID-19（新型コロナウイルス感染症）の影響により、延長されることになった。そのため、該当の調査費を次年度に使用する計画である。
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