研究課題/領域番号 |
20K00351
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研究機関 | 新潟経営大学 |
研究代表者 |
西澤 一光 新潟経営大学, 経営情報学部, 准教授 (30248885)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 契沖 / 万葉代匠記 / 解釈学 / 漢籍受容 / 『万葉集』 / 中国文学 / 大伴旅人 / 山上憶良 |
研究実績の概要 |
①「令和4年度上代文学会大会」にて講演「契沖『万葉代匠記』の解釈学をめぐって」を行い、科研費補助事業の成果を一部公開した。 ②昨年度公刊した共同研究の成果である研究書『受容と創造における通態的連鎖 日仏翻訳学研究』(2021年、新典社刊)について、共著者であり研究協力者である駒木敏同志社大学名誉教授と岩下武彦中央大学名誉教授とともに、合宿をして合評会を行った。 ③学会誌『上代文学』第129号の巻頭論文として「契沖『万葉代匠記』の解釈学をめぐって」(2022年11月刊、pp.1-20)を発表した。契沖における漢籍の引用がテキスト解釈との関連で考察されている論文である。また、『代匠記』の「初稿本」から「精撰本」へのプロセスで契沖の漢籍理解が深化し、それにともなって注釈がさらに精緻になっていることを巻五作品を中心に論じた論文である。 ④国立歴史民俗博物館所蔵の伊能家文書のうちの『万葉集代匠記』(【資料番号】H-61-1-2-9)を調査した。同資料24冊を全冊閲覧室に運び込んでの調査を行ったこれは『代匠記』の「初稿本」のうちでも、契沖没後ほどなく書写された貴重な本である可能性があるため、2月と3月の2回にわたり閲覧した。2回とも同館の松尾恒一教授が終始立ち会ってくれた。同資料の写本系統について大方の検討をすませ、他の同系統本との比較をしながらより詳細な調査の段階に進んだ。『代匠記』の本文そのものの校訂も基礎研究として依然として重要な価値を持っており、今後も継続していく必要があると判断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
契沖の漢籍受容が『万葉集』の解釈の確立を企図したものであることが、契沖の解釈の事例に即して精彩に論じられた論考を2021年度には、『受容と創造における通態的連鎖 日仏翻訳学研究』(2021年、新典社刊)と"Les chaines trajectives de la reception et de la creation" (2021,Peter Lang)において公刊したのに続き、2022年度には学会発表「契沖『万葉代匠記』の解釈学をめぐって」を行い好評を獲得。さらにその内容をブラッシュアップした論文「契沖『万葉代匠記』の解釈学をめぐって」を学会誌『上代文学』に発表することができたので、当初の目的はかなり達成できていると考えている。 また、書肆心水と協議しつつ、その内容をより学際的な内容に書き換えた短いエッセイを掲載するウェブサイトを構築する計画を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果に寄り、契沖の漢籍受容が「初稿本」から「精撰本」へのプロセスで深化しているという仮説が論証されたと考えているので、今後は、巻五以外の作品で漢籍を踏まえた作品に関して契沖が行っている注釈を検討していくことにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年10月に妻が他界したが、その前、数か月は、看病のためほぼ研究活動ができなかった。また、妻の没後しばらくは落胆していたため、やはり研究活動ができなかった。 今年度は、研究会の再開、資料調査のための出張、ならびに研究成果の公開のためのウェブサイト構築やYouTube動画による情報提供のために研究費を使用していくつもりである。
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