本研究は、宗教法人本願寺(京都市右京区、通称嵯峨本願寺)が所蔵する「嵯峨本願寺資料」(計435点)を研究対象とした。はじめに、「嵯峨本願寺資料」の書誌調査をおこない、研究全体の基盤データを構築しつつ、研究資料として広範な活用が可能となるように、研究資料目録の作成に努めた。つぎに、「嵯峨本願寺資料」に存する近世の東本願寺に関係する資料を重点的に考察し、禁裏・公家文庫との関係に注意しながら、東本願寺における蔵書形成過程の一端を明らかにした。さいごに、「嵯峨本願寺資料」からうかがえる近世の東本願寺周辺で展開された文学活動に注目し、京都における東本願寺の位置を明確化した。
|