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2022 年度 実施状況報告書

近世学問史研究に資するための謡曲注釈書の基礎的研究と『謡曲拾葉抄』の刊行

研究課題

研究課題/領域番号 20K00356
研究機関神戸女子大学

研究代表者

樹下 文隆  神戸女子大学, 文学部, 教授 (70195337)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード謡曲注釈書 / 謡抄 / 謡伝書 / 謡文化 / 謡本故実 / 謡曲拾葉抄 / 能楽論 / 近世学問史
研究実績の概要

令和三年度に引き続き、『謡曲拾葉抄』版本の翻字作業を行った。全体の4分の1に相当する、巻一から巻五までの粗翻刻を終えることができた。版本間の相違に関しては、明治版の一部が別版であることがわかった。また、『謡本故実』(東京芸術大学付属図書館蔵)に見る付箋、訂正、増補と版本との関係を整理し、『謡本故実』が版本の草稿であることを確信できた。『謡本故実』の増補・訂正箇所についての報告について、「東京芸術大学付属図書館蔵『謡本故実』推敲稿(一)」として、『神戸女子大学文学部紀要』(56巻、2023年3月)で連載を開始した。なお、「謡曲拾葉抄/山姑」(陽明文庫蔵)は、版本の写しであることを確認できた。
上記の研究成果を踏まえて、『謡曲拾葉抄』の刊行に、以下の方針を立てた。
1.版本『謡曲拾葉抄』の完全な翻刻を目指す。2.写本『謡本故実』の付箋、朱書訂正、墨書訂正の情報を加味する。3.分量が大部にわたるために、まずはpdfファイルで、インターネット上に公開する。4.公開は、神戸女子大学古典芸能研究センターのホームページで実施する。
近世謡文化研究としては、令和四年度の共同研究「謡伝書研究会」で『塵芥抄』の翻刻を『神戸女子大学古典芸能研究センター紀要』(16号、2022年6月)に、先に翻刻した『謳書』(『神戸女子大学古典芸能研究センター紀要』14号、2020年6月)と同系統の梅若満寿写『謡曲秘要抄』を新たに紹介し、翻刻して『神女大国文』(34号、2023年3月)に載せた。他にも継続して近世謡文化の調査を行ってはいるが、令和五年度は『謡曲拾葉抄』の翻刻完成を目指して、その作業に全力で取り組むために、余の調査・研究は控えることになろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ようやく令和四年度から他機関での調査が可能になったものの、新型コロナウィルス感染症蔓延の影響による二年間のブランクのために、計画全体に遅れが生じている。特に近世学問史研究と謡曲注釈書との関係を把握するというテーマに関しては、ほとんど手を付けられずにいる。

今後の研究の推進方策

本研究の骨子である謡曲注釈書と『謡曲拾葉抄』の刊行に焦点を絞り、最終年度にあたる令和五年度末にはインターネットでの本文公開を実現させるべく、データ入力の一部を外部委託することを考えている。最終年度にあたる令和五年度は、『謡曲拾葉抄』翻刻の完成と、『謡本故実』と版本との関係を明らかにすることに注力したい。

次年度使用額が生じた理由

令和五年度になり、ようやく新型コロナウイルス感染症対策も終焉を迎えたものの、令和四年度までは、諸機関の閲覧体制は時間制限、回数制限を伴うもので、一回2時間程度の閲覧しか許されない遠方の機関への出張は断念せざるを得なかった。それで、東京への二度分の出張旅費が残る結果となった。令和五年度では大幅に閲覧条件が緩和されるであろうから、その分の旅費の使用を予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] 東京芸術大学附属図書館蔵『謡本故実』推敲稿(一)2023

    • 著者名/発表者名
      樹下文隆
    • 雑誌名

      神戸女子大学文学部紀要

      巻: 56 ページ: 1~22

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『謡曲秘要抄』の紹介と翻刻2023

    • 著者名/発表者名
      樹下文隆
    • 雑誌名

      神女大国文

      巻: 34 ページ: 37~51

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『塵芥抄』を読む 早稲田大学演劇博物館本と京都観世会浅野文庫本(弥石源太夫識語本)翻刻2022

    • 著者名/発表者名
      謡伝書研究会(樹下文隆・長田あかね・大山範子・高橋葉子・藤田隆則)、中嶋謙昌
    • 雑誌名

      神戸女子大学古典芸能研究センター紀要

      巻: 16 ページ: 88-117

    • オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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