研究課題
基盤研究(C)
訳注の執筆と編集作業を行い、『王維・孟浩然』(明治書院、孟浩然を担当)、『韓愈詩訳注第三冊』(研文出版、共編)を刊行した。韓愈の創作活動の中でその遊戯性に着目し、特に他者を戯画化した詩に焦点を当てて、その作品の面白さと他者の不幸な事態を慰撫する働きがあることを論じた。シンポジウム「安史の乱は杜甫に何をもたらしたのか」で口頭発表を行い、その成果をもとに『宋本杜工部集』には杜甫が自身で詩を編年しようとした痕跡がうかがえることを論じた論考を発表した。
中国古典文学
孟浩然や韓愈といった著名な詩人の訳注は、一般読者の漢詩の裾野を広げ、研究者にとっても重要な基礎的資料となる。特に孟浩然は日本ではこれまで研究者による本格的な訳注は出版されていなかった。詩のおかしみはこれまであまり取り上げられることがなかったが、韓愈詩の他者戯画化に焦点を当てて、韓愈の諧謔と正面から向き合った論考を発表した。従来杜甫は『杜詩詳注』によって読まれることが多かったが、最古の版本『宋本杜工部集』の分析を通じて、杜甫が安史の乱後に編年意識を持つようになることを明らかにした。