研究課題/領域番号 |
20K00371
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
佐藤 賢 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (50726487)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国ドキュメンタリー映画 / 中国映画 / 土本典昭 / ドキュメンタリー / 映画上映運動 / 映画と社会 / 雲南 |
研究実績の概要 |
2021年度は、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大という状況の中で次の研究活動を行った。 ①昨年度に引き続き、中国ドキュメンタリー映画の批評に関する資料の収集と整理および研究を進め、映画上映という観衆との相互交流を生む場が持つ批評性に着目し、日本のドキュメンタリー映画作家・土本典昭と中国のインディペンデント・ドキュメンタリー映画、とくに雲南のドキュメンタリー映画運動との関係について考察した論文「土本典昭と雲南のドキュメンタリー映画運動」(『人文学報』第518号第12分冊)を執筆した。 ②中国ドキュメンタリー映画の創作および批評に関する知見を深めるとともに研究グループの形成を目的として、中国のドキュメンタリー映画作家を招聘し次の研究会を開催した。2022年1月21日(金)、第2回中国映像文化論研究会、場所:オンライン開催、講演者と題目:馮艶氏「ドキュメンタリー映画をとること/考えること」。以上の講演により、中国におけるダイレクト・シネマの受容をめぐる問題など、創作と批評の関係性を考察する上で示唆を得た。 ③2021年10月にオンライン開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭2021に参加し、『理大囲城』(香港、2022)、『自画像:47KMのおとぎ話』(中国、2021)、『蟻の蠢き』(中国、2019)など、香港や中国の最新のドキュメンタリー映画作品を視聴し、中国ドキュメンタリー映画の最新の創作状況について理解を深めた。 ④2022年3月に明治大学和泉キャンパスで開催された『夜明けの国』上映会および検討会に参加し、隣接領域の研究者と交流した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう海外渡航制限により、中国現地での研究調査および中国からの映画監督・研究協力者の招聘が行えず、当初予定した形式での国際ワークショップを開催することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ、可能であれば中国現地での研究調査および中国から映画監督・研究協力者を招聘したかたちでの国際ワークショップの開催を模索する。一方で、オンライン形式での国際ワークショップの開催も検討する。中国インディペンデント・ドキュメンタリー映画の批評に関する資料の収集と整理を続け、中国インディペンデント・ドキュメンタリー映画における創作と批評の関係性について研究を進める。積極的にオンライン研究会を開催することにより、映画および映画批評に関する知見を深め、本研究課題を推進する上で方法論上の示唆を得るとともに、研究グループの形成を図りたい。さらに視野を広げて、芸術運動と社会の関係という観点からドキュメンタリー=記録という行為が持つ批評性について考察を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう海外渡航制限により、中国現地での研究調査および中国からの映画監督・研究協力者の招聘が行えなかったことに加えて、山形国際ドキュメンタリー映画祭がオンライン開催であったことなどにより現地調査が行えなかったために次年度使用額が生じた。
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