宝巻は明清から民国に至るまで民間で盛んに行われた語り物の一種であるる。因果応報を説くという宗教的な役割とそれに即した独自の形態を保ちながら、時代を経るにつれ、物語を含む叙事的なものが多くなり、宗教的なものから文学的なものへ傾き、娯楽性を強めていく流れがみられる。宝巻文学の変遷史において、明末清初から清の嘉慶までのおよそ百年間に、現存する宝巻のテキストが乏しいことから、踏み込んで研究されていなかった。本課題研究はこれまでの研究に続き、一連の考察によって、最終的には宝巻の変遷史において、いまだ明らかになっていない転換期の様相を解明することを目的とする。
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