研究課題/領域番号 |
20K00385
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
戸谷 陽子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30261093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ストックキャラクター / アジア系アメリカ人 / ヴェトナム戦争 / アファーマティヴアクション / 日系アメリカ人収容所 / オタク文化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、近代以降の米国表象空間(主として舞台芸術)に展開した日本人のストックキャラクター群を対象に、①主としてマスメディアにおける言説や表象と比較・実証的に再検証することにより、そのイメージの形成と展開を、地政学的文脈に照らし、文化史的な系譜として概観・分類し、②さらにその後の発展と変容、現代に通じる展開を同様に検証し、③グローバル化の進む現代の表象空間における日本人とアジアの表象の新たなる展開を標榜するための学術指標を提示することにある。 2022年度は、引き続き前年度の「世紀末における日本人イメージの展開」の検証を進め、調査対象と範囲を20世紀以降にも拡大し、日本人のイメージの展開を確認した。さらに当該年度の計画に従い、「米国における戦争と日本人の表象」(仮題):日本関連の報道とイメージの変化を辿る作業と、同時に戯曲を中心とした演劇作品における日本人のイメージを検証した。予定としては、日本が強国と意識されるようになる日露戦争、太平洋戦争に至る時期の新聞報道や、日系アメリカ人の収容所に関するニュースリールの方法論を考察し、キャラクタータイプとして抽出された表象を検討することで、20世紀後半への日本人イメージの展開を検討する計画であったが、実際の舞台上演に関する検証を残している。関連してアニメーション等に散見されるITを熟知したギーク/ナードのイメージの検証を開始したこともあり、20世紀中葉より米国におけるアファーマティヴアクションの背景として、アジア系アメリカ人のキャラクタータイプが関係することに着目した結果、対象範囲が広がったためである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍の影響により、過去2年間に予定していた海外調査が実施できなかったため、計画を変更し、本年度に海外調査を行うこととする。調査は米国のワシントンDC国立アーカイヴおよびニューヨーク市公共図書館舞台芸術分館を予定している。欧州で19世紀から20世紀にかけて博覧会を中心とした舞台芸術公演関連の資料を調査収集する計画は、現在来年度に順延することを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
「モデルマイノリティ―とその逆転」(仮題):戦後から現代に至る報道を中心に分析を行い、ロールモデルとしての日系人のイメージが定着した経緯とこれを採用した戯曲および演劇作品を検証し、さらに日系劇作家によるその脱構築に注目して分析を加える。また、21世紀を跨ぐポップでハイテクな日本人イメージのソースについても報道を中心に調査、分析する。 これまで抽出したのは、蝶々夫人に代表される優美で従順な女性キャラクター、コミカルな男性キャラクター、侍に代表される厳格かつ大仰なイメージ、猿を想起させる身体的イメージ、モデルマイノリティ―といわれる米国における日系人ロールモデルのイメージ、高度経済成長期を経たエコノミックアニマルやビジネスマンのイメージ、男性性を剥奪された性的劣等人種としての男性イメージ、ゲイ男性のイメージ、ITを熟知したギーク/ナードのイメージ、カワイイカルチャーやアニメキャラクターを反映し変転したイメージ等々であり、これらがマスメディアにおいて表象される様相と、実際に演劇的な作品として流通する過程を検証しつつ、整理する。一方、19世紀から20世紀にかけて博覧会を中心とした日本人による舞台芸術公演の影響が大陸両岸に浸透したことから、欧州での関連資料の調査収集も計画している。 最終年度を意識し、学術的な諸言説・理論を導入し、総括的な問題の把握・指標の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査にともなう経費を計上して年度の研究計画を立てていたが、新型コロナ禍の影響により、海外調査を見送ったため。
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