研究課題/領域番号 |
20K00391
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
野末 紀之 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (70198597)
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研究分担者 |
高橋 章夫 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (10527724)
藤井 佳子 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 非常勤講師 (70379527)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 男性性 / 唯美主義 / 児童文学 / 帝国主義 / キプリング / セクシュアリティ / 学校物語 / 近現代イギリス文学 |
研究実績の概要 |
本科研は、今年度も、密接に関連する科研「後期ヴィクトリア朝イギリスにおけるファッションとダンディズム」(代表:十枝内康隆)との合同研究会を2021年9月(札幌)と2022年3月(大阪)に開催した。野末紀之(代表)はオスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』における男たちの審美化の視線への批判、およびヴァーノン・リー『ミス・ブラウン』における唯美主義者の男たちへの風刺について考察し、その成果の一部を2021年12月の日本英文学会関西支部大会での招待発表において活かすことができた。また、研究ノート「竹友藻風のペイター論」を学会誌に掲載した。これは、科研のテーマに直接関わるわけではないが、ウォルター・ペイターの長篇小説に表出された競技場の観客の嗜虐的男性性へのペイターの批判についての言及を含んでいる。 分担者の藤井佳子は、コロナウィルスの影響により海外での資料調査がかなわなかったが、F. W. Farrarの学校物語に関する研究を継続発展させるとともに、Boy's Own Paperに掲載されたコナン・ドイルの戦争詩について貴重な報告を行なった。また、『トム・ブラウンの学校生活』について、挿絵に着目した査読論文を学会誌に発表した。 高橋もまた、海外での資料調査および聞き取り調査ができなかったことで、当初の計画を進展させることができなかった。ただ、シェル・ショックの言説の孕む男性性およびキプリングのプロパガンダ作品における男性性の問題について、先行研究を網羅しながら考察を加えたので、それらの内容を論文化することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も昨年度同様、コロナ禍による教育面での負担の増大や、海外での資料調査がかなわなかったことをふまえると、全体としての進捗状況は上記のものと見なすことができる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は最終年度となる。引き続き合同研究会の年間2回の開催(ゲスト招聘を含む)や海外での資料調査の実現に加え、3年間の研究成果を論文・研究発表・シンポジアムなどのかたちで発信してゆく。また、出版についても積極的に検討したい。それぞれの担当する領域(ジャンル、階級)から、男性性の再定義というテーマに向けて総括することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、当初計画していた海外での調査が不可能となったこと、また予定していたゲスト講師の招聘も困難となり、大きな残額が生まれた。
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