研究課題
基盤研究(C)
本研究では、近現代アメリカ文学を牽引した4人の作家に焦点を当て、社会と対峙するレジスタンスの思想を探究した。19世紀アメリカン・ルネサンスの作家は奴隷制廃止に向けて、時代思潮を先導した。20世紀アフリカ系アメリカ人作家は人種隔離政策を批判し、公民権運動の先駆者となった。文学者のレジスタンスが近現代アメリカに貫流することを、テクスト分析と社会史研究によって浮き彫りにした。
アメリカ文学
本研究は、ヘンリー・ソローとハーマン・メルヴィルの文学にナショナリズムを見出す批評や、リチャード・ライトの文学を抗議小説と見做す定説に対し、古典の意義を問い直した。19世紀ヨーロッパ系アメリカ人作家の社会思想が、現代アフリカ系アメリカ文学の重要な源泉であることに注目し、アメリカ文学を貫く抵抗精神を人種横断的な見地から考察した。研究成果をまとめ、『アメリカ文学のレジスタンス思想』(仮題)として出版する予定である。