研究課題/領域番号 |
20K00398
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
小倉 いずみ 大東文化大学, 法学部, 教授 (00185563)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大西洋奴隷貿易 / チャールズ・サムナー / 全米ソロー学会 / 植民協会と解放奴隷 / リベリア / 奴隷制廃止と補償問題 |
研究実績の概要 |
2022年7月にマサチューセッツ州コンコード市で開催された全米ソロー学会において発表を行った。依然としてコロナウイルスの影響があったため、大会は対面とオンラインの両方で実施された。小倉は対面で出席し、発表は録画されて12月まで視聴可能であった。 全米ソロー学会の発表の前の4月には初期アメリカ学会の例会でエマソンと奴隷制廃止について日本語で発表した。 7月の英語での発表を終えて帰国後は、初期アメリカ学会が刊行する単行本『改革が作ったアメリカ』の編集委員として論文の査読と編集をした。この本は文学、歴史、政治、宗教などアメリカの植民地時代から19世紀までを広範囲にカバーし、編集委員はすべての分野の論文をチェックした。2023年3月に刊行された本書はカバーにフィラデルフィアのLibrary Companyが所蔵する絵画を使用している。小倉は論文も提出し、7月の全米ソロー学会の発表内容を日本語にして出版した。内容の一部は昨年出版した日本英文学会関東支部の論文と重複するが、本書に収録された論文の重点は1850年代のエマソンが考えた奴隷制廃止に伴う補償問題である。エマソンは南北戦争中に奴隷所有者へ補償する考えを捨てたが、50年代は奴隷制廃止の解決法として政治でも議論された。 50年代はまた奴隷制廃止をめぐって暴力が横行した時代でもあった。チャールズ・サムナー議員は1856年に連邦議会の議場で南部のブルックス下院議員により杖で殴打された。エマソンはサムナー議員を擁護して講演“Crime Against Kansas”を行った。本論文はエマソンの奴隷解放の努力が過激化してアボリショニズムに変わっていった1850年代を分析した。 その他の活動としては、2023年度に出版を予定している研究成果の原稿を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルスの影響からしばらくアメリカ出張ができなかったが、2022年7月に全米ソロー学会で発表した。しかしまだ海外出張の旅費が残っているので、研究機関が終了するまでに使いたい。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究の最終年度となるので、研究成果を単行本『ラルフ・ウォルド・エマソンと奴隷制廃止主義』として刊行したい。また7月の全米ソロー学会において、再び発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間4年間のうち、最初の2年間はコロナウイルスの影響でアメリカの学会がオンラインとなってしまったため、アメリカへの出張ができなかった。本年度に出張を予定しているので、すべて執行したい。
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