2023年7月にマサチューセッツ州コンコードで開催された全米ソロー学会において発表“Emerson’s Lectures on Abolition during the Civil War: “American Civilization” and “Fortune of the Republic”を行った。大会はすべて対面で行われ、私は3人のパネリストと共にラウンドテーブルを担当した。ラウンドテーブルは発表を短く行い、ディスカッションに重点を置く。大会は4日間開催されたので、他の参加者と交流した。またエマソンの家、旧牧師館、オルコットの家を見学した。エマソンの家では私の著書が出版されたら送ってほしいと依頼された。 最終年度の研究成果を公表するために科学研究費学術図書を取得したので、その原稿を出版社の金星堂に提出した。著書のタイトルは『ラルフ・ウォルド・エマソンと奴隷制廃止主義』である。1400年代に大航海時代にポルトガルが最初に奴隷貿易に従事して以後、スペイン、オランダ、英国へと発展した経緯を解説し、アメリカにおける奴隷制の拡大をたどった。エマソンの奴隷制反対運動は1840年代から始まったが、彼の奴隷制廃止への変貌を詳細に分析した。2023年度は研究の最終年度となるので、過去4年間の研究の集大成として学術図書を出版したいと思っていた。本書はまた年表と参考文献を充実させており、『ジョン・コットンとピューリタニズム』と『トマス・フッカーとコネチカット』に収録したものをさらに正確に、読みやすく編集した。本書は2023年8月31日に出版された。 書評としては、高橋勤著『野生の文法』を『ヘンリー・ソロー研究論集』第49号に執筆した。初期アメリカ学会では2024年3月に司会を務めた。
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