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2022 年度 実施状況報告書

「おば」の介入と女性像の間世代的形成─19世紀アメリカ文学における領域批評の再考

研究課題

研究課題/領域番号 20K00401
研究機関立正大学

研究代表者

増田 久美子  立正大学, 文学部, 教授 (80337617)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード19世紀女性小説 / 女性性としての「おば」 / 領域論
研究実績の概要

文学テクストの「おば」(aunthood)にかんする批評について、おもに次の3点から検討をはじめた。(1)「おば」の語りの基本的な考え方(Reynolds 2020)、(2)18世紀後半から19世紀の英国小説の事例(Perry 2004; Toibin 2012)、(3)アンテベラム期女性小説における「母の不在とおばの登場」の背景(Koppleman 1894; Chambers-Schiller 1984; 1988)である。(1)については、物語上の「おば」が「父権的な象徴秩序の固定性」から解放され、矛盾を含み、「カテゴリー化や言葉の定義に抵抗する者」として読むことできる可能性について論じている。(2)では、18世紀後半から19世紀の英国小説における母親の不在が「女性の本質的な力の欠如」を表し、それに代わる「おば」が主人公の自立や行動をうながす契機となり、その「ドラマ的構造におけるおばの価値」が分析されている。(3)のアンテベラム期における「母の不在」と「おばの登場」については、当時の母親業の規範にたいする不安や恐れがあったことが指摘されている。「おば」は「熟達したおば」として、「子どもへの愛情がなく養育能力のない母」と「子どもへの愛情の過多により、育成の目標を見失っている母」の中間に立ち、「本当の母」に代わって「共和国の子どもたちを社会化する」明確な目標を体現した存在である。おばの物語とは共和国市民の育成をめぐるナショナルな不安を映し出したものであり、共和国の理念を背負いながら家庭性の概念を実践する女性であったことが判明した。
これらを踏まえ、とくに「非婚のおば」という女性性に着目し、マーガレット・フラーの議論を経由して、アリス・アン・カーター、キャサリン・マリア・セジウィック、A・J・グレイヴズらの作品分析をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「おば」論にかんする先行研究・資料の収集が困難であったため。

今後の研究の推進方策

「おば」論にかんする批評史はほぼまとめられたので、具体的なテクスト分析を進めていく。なお、2023年5月の学会において、本研究の一部を発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

海外への調査旅行を見送ったため、補助延長期間を延長することにした。次年度は、調査旅行による資料収集ではない方法を検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 家庭から市民社会へ──アンテベラム期アメリカの家庭性とセアラ・ヘイルの小説2022

    • 著者名/発表者名
      増田久美子
    • 学会等名
      日本アメリカ文学会東京支部

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公開日: 2023-12-25  

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