英国における「ミドル・クラス」のイメージと実体については研究がなされてきた。しかし、本研究ではこれまであまり取り上げられなかった「ロウワー・ミドル・クラス」に焦点を当て、その実体が依然として漠然としていることについて、新たに勢力を増して存在感を大きくしたロウワー・ミドル・クラスがアッパー・クラスやアッパー・ミドル・クラスをどのように脅かしていったか、そして諷刺、揶揄、非難の対象となったかを考察した。さらに「ロウワー・ミドル・クラス」と関連の深い「郊外(サバービア)」という住宅地の表象を考察することによって、英国文学、文化における「階級」のコンセプトについての新たな理解に貢献する試みである。
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